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【特集】 七ヶ浜町第4期地域福祉計画[2024-2028](2)

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宮城県七ヶ浜町

▽住みやすさの違いはどこから
しかし、社会保障の制度があるから全てが安心かというと決してそうではありません。法律で定められている制度では、どこの町に住んでいても同じ水準のサービスが受けられます。本当は国などの公的なサービスだったら、どこの町に住んでいても住みやすさの違いはないはずなんです。
では、住みやすさの違いはどこから来るのでしょうか。例えば、高齢者の方が孤立しないための見守り活動や子育てするお母さん方などのための情報交換する場をつくるなど、公的なサービスにないものを地域で作り出す気運が醸成されているかということが住みやすさの違いになると思います。
ごみ出しの際にご高齢の顔見知りの方がいたなら、自分も同じ場所に行くから持って行ってあげるとか、その人がごみを出していなければ、どうしたの?と気になり、ピンポンと鳴らしたりしますね。
こういったことは行政サービスにはないものです。この町が住みやすいと思うのは、国のサービスだけでは決して計れないものがあるんです。
地域福祉というのは、病院やさきほどのごみ出し、一人暮らしで心配だという人などが安心して暮らせるように行政サービスも使い、そこに住んでいる人や組織が協力をして、地域の課題を一緒に解決していくことです。

▽地域福祉の水準は自分たちで決められる
平成27年に社会福祉法の中で地域福祉計画を作る努力義務が課せられましたが、七ヶ浜町では、それよりも前の平成21年から計画を作っていました。
早い段階から、課題解決のために、どういった人たちが協力したら、どんなことができるのかを考えていたんです。
当時、私は皆さんに地域福祉をビルの建設に例えて話をした時がありました。七ヶ浜町に地域福祉ビルを建てるとします。ビルを建てる際に誰がいればビルが建ちますか?基礎や壁、窓、照明などいろいろな方々が関わってビルが建ちますね。
地域福祉ビルを住民と組織が役割分担して協力して建てる。地域福祉の法律がない分、地域福祉の水準を自分たちで決めることができるんです。自由につくり、その町のオリジナルでいいわけです。
そのビル建設にどういう人が関わっていくのか、七ヶ浜の地域福祉計画の基本理念「つなぎ、ささえ、いきる」という方向性を示し、行政と社会福祉協議会が両輪となって進めようとするのがこの計画です。
そして、その方向性を具体的にして、住民や組織のどういう人たちがどういうふうに関わって実現していけばいいのかを示したのが行動計画になるわけです。この方向性が、市町村ごとの住みやすさの違いを表していると思います。

▽弱者情報を日常的に把握できる体制を
近年、震災やコロナ禍で人と関わる機会が減ってきているのは事実です。震災後、孤立しがちな人たちはまだまだたくさんいますし、生活上の課題もあります。
いままで課題と思っていなかったことが今、新たな課題にもなっています。
以前、町とともに買い物弱者の調査をした時がありました。
その時は、買い物に不自由を感じていない人が6割強いました。それはなぜか。それは、自分で車を運転して買い物に行けるからでした。
あれから7、8年経って、あの時不自由に感じていなかった人も高齢になって、車の運転ができなくなってきました。一人暮らしの人も増えています。その人たちのことがだんだん見えなくなってきていると思います。
これからの町の課題は、こういった援助を必要としている人の情報を日常的に把握できる体制をとっておくことだと思います。
地域福祉推進会議や社会福祉協議会、区長、自主防、民生委員・児童委員などとの情報の共有がこれからは一層大事になってくると思います。
これから住民の皆さんが地域福祉にどのように関わっていくのかということを、みんなで一緒に考えていかなければいけませんね。

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