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自治体の皆さまへ

【特集1】自分らしく生きられる、居場所はみつかる(1)

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

―ひきこもる心の理解と心情に寄り添ったサポート

■誰一人取り残さない社会へ
ひきこもりは、病気や障害ではなく、就労や就学、交遊などの社会参加から遠ざかり、6カ月以上にわたって活動の場が家庭中心になっている状態とされています。学校や職場などでの傷ついた経験や、転勤、結婚などによる環境の変化など、身近なことがきっかけとなり、誰にでも起こり得るものです。
平成28年1月に本市で行ったひきこもりに関する調査では、ひきこもり状態にあることで、社会に居場所が持てずに孤立している方が多いことが明らかになりました。調査結果を受け、市では安心して社会とつながることができるよう、本人向けの居場所支援や家族向けの相談支援を行ってきました。
前回の調査から7年以上が経過し、ひきこもりに関する社会の認識や市民の生活状況にも変化があると考えられます。市では、ひきこもり状態にある方一人一人の声やニーズを把握するため、8月より、皆さんの生活状況に関する調査を実施します。お寄せいただいた声を基に、より充実したひきこもり支援を進めていきます。

■ひきこもる心を理解し、関わり方を知るために
NPO法人スチューデント・サポート・フェイス 代表理事 谷口 仁史さん
佐賀県において、ひきこもり等困難を抱える若者の自立支援を展開。国の審議会の委員など多数の要職を歴任

皆さんは「ひきこもり」と聞いて、どのようなイメージをお持ちになりますか。自己責任論をベースに「甘え」や「怠け」の結果だという人もいますが、近年のさまざまな研究や当事者の方々からの発信を踏まえると、そうした捉え方は適切ではないと考えられます。それどころか、誰もが陥る可能性のある社会問題であると言われています。
これまでわれわれ支援者が出会ったひきこもりの方々は、その状況に至る経緯やきっかけ、要因などはさまざまでも、誰もが「対人関係」の傷つきを経験していました。こうした傷つきは、自信や自分を価値のあるものと考える気持ち(自尊感情)にマイナスの影響を与え、ときに新たな人間関係を構築することへの不安や恐怖感などにつながることがあります。
このような背景を理解すれば、ひきこもる気持ちの一端を理解することができるのではないでしょうか。自分なりに努力を重ねても対人関係がうまくいかず、傷つく中で、自分自身を大事に思う気持ちや自信が失われていくのです。誰かに相談しようと思っても、それまでの経験から誰かに話すこと自体が困難になり、一人で抱え込んでいくことになりがちです。ひきこもった生活が長期化すると、メンタルヘルスの問題が発生するなど課題が複合化・深刻化することもあり、さらに相談から遠のくといった悪循環に陥ることもあり得ます。
それでは、私たちはどのように関わればいいのでしょうか。そうならないうちにと相談に無理に連れて行ったり、専門家の人に訪ねてきてもらったり(アウトリーチ)するべきでしょうか。われわれ支援者の経験では、合理的な配慮を伴わない安易な働きかけは、悩んでいる本人をより困難な状況に追い込んでしまい、助けになるどころかむしろ害になるということが分かっています。立場を変えて考えてみれば気づくことですが、人は自分を傷つけず、自分の話にきちんと耳を傾けてくれる相手にしか、思っていることを正直に話せないものです。専門家はもちろん、身近な立場にいる私たち自身も、まず、ひきこもりの方の声に耳を傾け、一人一人の心を理解しようとする姿勢を持つことが必要なのです。

問合せ:障害者支援課
【電話】214・8164、【FAX】223・3573

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