仙台市長 郡 和子
■粘り腰で被災地を支援
勾当台公園に威風堂々と立つ横綱・谷風梶之助の銅像。昭和46年に設置されてからずっと仙台を見守ってくれています。
谷風は、現在の若林区霞目出身の力士で、大相撲史上屈指の強豪でした。郷土が生んだ大横綱ですので、皆さんよくご存じですよね。第4代横綱として相撲興行の隆盛に寄与し、今の相撲の礎を築いた江戸の大スターでした。63連勝という記録を打ち立て、約150年後に相撲の神様と言われた第35代横綱・双葉山に69連勝を達成されるまでは、最多連勝記録の保持者でもありました。歴代2位となった記録は、平成22年、第69代横綱・白鵬(はくほう)が並びタイ記録となりましたが、なかなかこれを超える記録は生まれません。
ところで、45回の史上最多優勝を誇る横綱・白鵬、現宮城野親方は、東日本大震災発災の3月11日が26歳の誕生日だったことから、宿命だと被災地に想(おも)いを寄せてくださり、各地を回って土俵入りを披露したり、ちゃんこを振る舞ったりするなど、さまざまな支援活動に取り組まれました。慰問途中の平成23年6月には、大きな揺れにも微動だにしなかった勾当台公園の谷風像を前に、7月場所での優勝を誓ったとお聞きしました。
今年の元日に発生した能登半島地震では、今もなお不自由な生活を余儀なくされている方が大勢おられます。改めて犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
被災地石川県も優秀な力士を輩出する地域です。谷風に続く江戸の横綱で、千石船を一人で引いた逸話を残す第6代横綱・阿武松緑之助(おうのまつみどりのすけ)、そして昭和の第54代横綱・輪島大士(ひろし)など。
発災後の初場所は、石川県出身で新入幕の大(おお)の里が、被災地の苦難を背負いながら白星を重ね、初の敢闘賞を受賞しました。故郷の復旧復興を思い、奮い立つ力士魂が被災地に多くの希望と勇気をもたらしました。これからの活躍も期待しています。
仙台市としても、横綱の模範とされた谷風の力量と人格に倣い、「粘り腰」で被災地への支援を続けてまいります。
次回の掲載は6月号を予定しています
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