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〈多賀城の歴史と文化〉歴史の風

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宮城県多賀城市

■連載146 埋められた土器(ほ場整備の調査成果(3))
発掘調査をしていると、割れた土器のかけらが見つかることが多くありますが、まれに穴の中に据(す)えられた完全に近い形の土器が発見されることがあります。このような遺構を土器埋設遺構(どきまいせついこう)といい、今回のほ場整備事業の発掘調査では、5箇所で平安時代の土器埋設遺構が見つかりました。
写真は、東西大路から南に1本目の「南1道路」と、南北大路から西に3本目の「西3道路」との交差点で見つかった土器埋設遺構です。道路の脇に設けられた側溝のすぐ近くに埋められていました。
楕円形に掘った穴の中に、土は師器(じき)の甕(かめ)2点が口を合わせるように据(す)えられていました。片方の土器の口の部分は打ち欠かれており、土器同士が密着するように加工されています。土器には煮炊きの際にこびりつくススやコゲが付いていないことから、日用品のリサイクルではなく、専用に作られた土器の可能性があります。発見した時には破片は散らばることなく潰れた状態で見つかったことから、埋めた時は、土器の中には土が入っていなかったと考えられます。
わざわざ埋めるための土器を作り、穴を掘って埋めるという行為には、何か特別な目的があったのではないでしょうか。
土器埋設遺構は、地鎮や境界の祭祀(さいし)との関わりが指摘されています。特に今回紹介したように道路交差点で見つかることが多く、道路の造成工事中に埋められているものもあります。今回見つかった土器埋設遺構も、道路の建設や改修に関わる祭祀のために作られた可能性が考えられます。

問合せ:埋蔵文化財調査センター
【電話】368-0134

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