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自治体の皆さまへ

令和5年度 所信表明の概要(1)

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山口県周南市

■人口急減社会における未来が生まれるまちづくり
周南市長 藤井律子

▽はじめに――
私は先の選挙におきまして、市民の皆さまの大きなご支持をいただき、2期目の重責を担わせていただくこととなりました。
時代が大きく変わりつつある今日、自治体経営にはさまざまな困難が予測されます。品格と誇りのある愛する周南市の舵取りをこれからもしっかりと行ってまいる覚悟です。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
本年4月、国立社会保障・人口問題研究所から2070年に、日本の総人口は現在の約1億2,500万人から8,700万人へと減少し、全体の1割が外国人になるという将来推計人口が公表されました。これは、2014年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」のショックを遥かに超える激震となり、各方面に伝わったところです。
私はこれまで、人口減少を本市の抱える最大の問題と位置づけ、真正面から取り組んできました。例えば、地域人材循環構造を確立するための旧徳山大学の公立化、地域の脱炭素・新エネルギーの推進で高い産業力を有する都市としての持続可能性の追求、未来世代の幸福を何よりも慮(おもんばか)る地域づくりの推進、寄り添い伴走する子育て支援や施設整備など、人口減少問題の核心に近づくアプローチを続けてきました。
この度の将来推計人口の公表は、わが国の人口減少対策に再検討を促しています。その上で「人口急減社会を前提とした地域づくり」の推進を強く示唆していると考えています。
本市の「全ての施策は人口減少対策につながる」という認識は、部局連携による施策の最大の効果と未来世代の幸福を基本軸とするものです。私は、将来推計人口の公表を踏まえて次の2点を付け加えて、施策展開を図っていきたいと考えています。
一つは「人口減少に抗(あらが)う」という、「抗う」ことの意味の明確化です。私はこれまで、「抗う」という言葉を人口減少率を抑制するという意味で用いてきましたが、人口を昭和のピーク時、あるいは合併時のレベルに「戻す」という意味ではないことを改めてお示しします。
さらに、人口が減るという社会現象はマイナス面だけではなく、これを契機として地域が変わる、変わらざるを得ないという側面にも注目するべきではないかと思っています。人口減少という危機感はこれまでできなかったことができるような状況をつくり、地域が変わっていけるパワーを生むものと考えています。
いまひとつは「人口」そのものに対する考えです。これまで「人口」は地域の力のバロメーターのように使用されてきました。本来、人口は社会環境により変化するという特性のあるものです。これからの社会は、情報通信技術やAI、運輸交通などの進展が、雇用や起業、学びや生活スタイルなどに影響し、社会環境を大きく変化させることになります。定住者数を示す「人口」の意義も、今後は変わることが予想されます。
一例をあげると、これまでさまざまな場面において都市が選択される場合、「人口」は大きな選択の要素でした。人口減少社会ではこの要素は自然と薄らぎ、「持続可能性の追求」や「社会環境への適応性」を志向するまちの姿勢や実績が重要な要素になると思われます。
私は、これからは人口減少問題に個別具体的に丁寧に対処しつつ、一方では、問題の繋がりや問題の根源となっている核心へのアプローチも緩めてはならないと考えています。
このアプローチがめざすところは、例えば、地域の医療・福祉・教育・子育て環境が整い、安心安全の暮らしやすさがあり、脱炭素化による生産基盤が整い、SDGs(エスディージーズ)の推進でさまざまな取り組みが進むところにあります。
また、まちには多彩な学びの場が設けられ、デジタルやAI人材に恵まれた資質の高い労働力があり、充実した支援網でアントレプレナーが養成されて起業の場も次々に誕生するところにあります。
このアプローチは、これからのまちづくりの「新たな力」となり、未来が生まれるまちの形成につながるものと考えています。
幸いなことに本市には、こうした「新たな力」を発芽させる土壌が整いつつあり、市政はそれを次のレベルに誘導する本気度が求められていると思います。
私はこれまで首尾一貫して「全ての施策は人口減少対策につながる」と申し上げてきました。以下はそれに基づき、項目別に所信を申し上げます。

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