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令和5年度 所信表明の概要(2)

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山口県周南市

■人口急減社会における未来が生まれるまちづくり
周南市長 藤井律子

1.「こどもまんなか」が人口減少対策の原点
子ども関連の施策につきましては「こどもまんなか宣言」で、本市の考え方と具体的に指針5カ条を公表し、ホームページに掲載、朝礼での唱和に取り組むなど全職員への周知徹底にも努めているところです。
子どもは地域の宝であり、大いなる可能性を秘めた、かけがえのない存在です。子どもの最善の利益を第一に考え、自由と権利を守り、取り巻く環境の多様化、複雑化に十分配慮し、「こどもまんなか社会」の実現を人口減少対策の柱として取り組みます。
また、伴走型支援の研究をさらに進め、結婚・妊娠・出産・子育て・教育・進学・就職と切れ目なく、子どもや保護者の目線でこれを進化させていきます。
さらに、子どものいる世帯の経済的負担の緩和をめざして、こども医療費、通学定期代、奨学金返還など、子どものライフステージに寄り添った支援に心を配りたいと思います。
子どもの笑顔は地域を元気にし、未来への希望です。子どもを産み育てたくなる上質なまちは、人口減少対策の初めの一歩であると認識しています。

2.文化の薫るまちづくりと人口減少対策
文化庁の資料では、文化とは「人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ育ち身に付けていく立ち居振る舞いや、衣食住をはじめとした暮らし、生活様式、価値観など、人間と人間の生活にかかわることの総体」とされています。私はその上で、文化は私たちの後ろに在るものだけではなく、今を暮らす私たちの姿や日常の考えや振る舞いが、やがてこのまちの文化になっていくものだと考えています。
そこで私は、市民の誰もが地域文化の創作者になるという考えをまちづくりの支柱として取り入れていきたいと思います。
例えば、人口減少社会では、担い手不足から、これまで地域で親しまれてきた祭りや行事、地域に根差した文化活動等を記録、維持保存し、継承していくことが喫緊の課題となっています。
その一方で、健康で文化的な生活の質の向上がみられ、多様な個人の価値観に基づいて個性ある余暇活動が活発になり、さまざまな習い事やサークル活動、交流や学習活動などが盛んに行われるようになりました。それはライフスタイルの成熟化の表れであると同時に、地域文化の芽が着々と育まれていることの証しでもあると考えています。
地域文化を大切にすることは、継承と芽生え・育みを両面から支えることでもあります。文化につながる活動の拠点やパフォーマンス・交流の場となる適切な施設整備を行い、文化の薫る上質で潤いのあるまちづくりの推進は、人口減少対策に極めて甚大な価値があることと思います。
これからの時代は、市民一人ひとりの磨かれた個性の表現が地域文化を芽生えさせていく時代です。その集積が新たな地域文化を形作り、まちの魅力となり、シビックプライドを醸成していくものと考えています。
こうした文化の土壌づくりをしっかり行っていくことが、人口減少対策には無くてはならないものと思います。

3.周南公立大学と連携した人口減少対策
周南公立大学は「地域人材循環構造の確立」をめざして開学し、「地域の成長エンジンとなる」というミッションの下で「知の拠点」としての存在意義をパーパスに掲げています。
人口減少社会の到来は、地域の高等教育機関に一層の産官学の連携、リカレント教育やリスキリングの支援、DX人材やアントレプレナーの養成、起業や事業承継のサポートなど人口減少対策の核心につながる多様な分野での役割を求めています。
周南公立大学はこうした役割を担う大学です。本市の人口減少対策の大きな強みの一つは、知的アドバイスや専門的役割を担う自前の「知の拠点」を抱えていることです。これからは、市民・企業・市役所という「信頼のトライアングル」をリードする存在として、ますます貢献できるものと考えます。
私は、大学にまちづくりの期待をするだけではなく、全国から集う学生たちをまち全体で育てていかなければならないとも考えています。新学部学科の開設により、約2,000人もの大きな「若者の塊」の出現は、人口増と地域経済に貢献するだけではありません。彼らのクリエイティブな発想や考え、アグレッシブな振る舞いや活動は、本市の新たな文化の芽となり育むべき対象となるものです。
私たちは、学生をさまざまな場面で迎え入れ、私たちの暮らしの多様性や価値観に触れてもらい、学びを共有しながら、資質の高い社会人として巣立つことができるように、応援していくことが大切ではないかと考えます。
私たちのまちの私たちの大学として、市民と学生の信頼に満ちた関係をしっかり築いていきたいと思っています。こうした姿勢が若者に慕われる風土の醸成となり、人口減少対策に確実につながると考えています。

4.進化する産業力は人口減少対策に直結
子どもを産み育てやすい環境を整えることと、地域に多様な雇用の場が確保されることは、人口減少対策の両輪と考えています。これからの地域内での雇用環境は、地域の生産力の発展と事業承継や起業・創業の進展にかかっているともいわれています。
本市の強みは、県内屈指の生産力とコンビナートをはじめとする企業・事業所の集積にあり、この企業群が積極的にカーボンニュートラルに向けた経営に取り組んでいるところにあります。
企業・事業所の存在なくして地域内雇用は確保されません。地域内雇用なくして人口減少対策は有り得ません。
私は、あらゆる知恵と協力を得ながら、地域の企業が厳しい競争に打ち勝つための連携や産業基盤の整備を推進します。
また、事業承継のサポートを行いつつ、アントレプレナーの養成や起業支援を拡充して、新たな雇用の場の確保に努めます。
農林水産業の振興においても、デジタル・AI技術の導入による生産性の向上や脱炭素化への取り組みの推進をめざします。
これからの時代は、脱炭素、SDGs、デジタル・AI化、そしてダイバーシティなどでまちの積極性が求められ、そのことが地域の産業力を支え、雇用の場の創出となり、人口減少対策に直結すると考えています。

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