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市長随想

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新潟県柏崎市

■ストックホルムの朝
市長 櫻井雅浩

イギリス、スウェーデンを訪問した。電力の海底直流送電、原発の使用済み核燃料関連である。そして、両国ともロシアへの危機感は強い。
ノルウェー・水力で作られた、イギリス・風力で作られた、それぞれのグリーン電力を700km海底送電線を通して融通。イギリス側の送電線揚陸地ブライスの浜辺では飼い主によって放たれた大きな2頭の犬がじゃれ合っている。波静かな水平線の向こうには青空が広がり、のどかな光景である。戦争の気配など全くない。
「お互いさま」というものの考え方は日本だけのものでもなく、経済合理性にも適っている。大きな変電施設を見せていただいた後、深夜の便でスウェーデンに向かった。
機内で昨年12月の豪雪を思い出した。8号線沿線に住む市民の皆さんからおにぎりやピザなどが渋滞に凍える運転手さんに届けられたと聞いた。私どもがお願いしたことではない。市民の皆さんの温かな心遣いである。ありがとうございました。
23年前、スウェーデンの2月はマイナス20℃であった。かつて厳しく凍っていた海は穏やかで、船が行き交っていた。完全に肩透かしであった。本当に地球温暖化なのだろう。
スウェーデンは人権、環境への意識が高く、標準消費税率25%の高負担、高福祉国家である。また、ロシアのクリミア併合を機に2018年、徴兵制を復活させ、満18歳の男女に1年未満の兵役を義務付けている。
土曜、ストックホルムの朝、それでも凍てつく。うっすらと残る雪は朝日に輝き、街行く人々は足早だ。王宮近くの公園ではスケートリンクが解放され、子どもたちが楽しそうに滑っている。平和な光景である。「さて、…」と少し考えた。
帰ってきた私は雪間にフキノトウの早緑(さみどり)を見つけ、喜んだのである。

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