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町の農業を語る 対談 金山農業協同組合岸新也組合長 金山町役場佐藤英司町長

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山形県金山町

■対談の経緯
感染症の拡大によるあらゆる需要の冷えこみや、肥料・燃料・飼料などの高騰により大きな影響を受けている農業経営を盛り上げるため対談を行う。

■農業の現状と課題について
[岸]昨年度は、新型コロナウイルスによる消費の減少や、生産飼料などの高騰により農業経営は大きな影響を受けた。また、人口減少や少子高齢化による販売額の減少や、農業者の人口も減り、現在は約300件となっている。現在は、法人と個人の経営が中心となっており、個々のニーズに対応していけるよう事業を展開していきたいと考えている。
米価の下落は落ち着きつつあるが、昨年度の米の生産状況は18年ぶりに不良となっている。金山町においては契約栽培となっており「売れる米作り」「信頼される産地づくり」を基本として生産を行っている。
園芸作物の「ニラ」については、令和3年は降雹被害により出荷量が減少したが、令和4年度は安定して出荷することが出来た。単価も高くなり、販売については全体的に令和3年度を上回った。
野菜の売上高については2億3000万円となっており、特産品の「タラの芽」については単価が6,200円から7,600円と回復傾向にある。一方畜産は、後継者不足により、現在は12戸となっている。
米については出荷量が落ち、収入が減っているが、全体の販売額は11億6,000万円となっており令和3年度を上回っている。
厳しい農業情勢が続いている状況にあるが、農家の方の所得の増大や、生産の拡大により、町の地域経済の活性化を農業が中心となってけん引していかなければならないと思う。その為には、農家の方が営農を続け、生活が成り立つような支援や整備が必要だと考える。
また、若年層の農業離れの歯止めがきかない状態も大きな課題である。

■どのような支援が考えられるか?
[佐藤]町の主幹産業は農林業であり、農家が意欲を持って、作付や生産ができることが町の活性化に繋がると考えており、農業者の所得が向上すれば、地域経済にも大きなプラス効果が生まれる。
農業は降雹被害などの自然の影響や、米価の下落など社会の情勢による影響を受けやすい。一昨年、町では米価下落の動きを察知した段階で、いち早く支援策を打ち出した。
また、昨年度は燃料費や資材の高騰による大きな影響を受けた。年度によって状況が変わる難しさはあるが、農林業が維持され、生産者の意欲が減退しないように、国や県と歩調を合わせながら今後も支援していく。

■農業の担い手不足について
[岸]新規の就農者は山形が全国で一番に多い。その中で、暮らしが成り立つ営農が出来れば、より多くの若者が農業に興味をもつと考えている。農業で生活を成り立たせるためにも、支援や政策を町と講じていきたい。
[佐藤]所得の安定が第一だと考えている。
農業は手作業や体力を使う作業が多くあるため、ドローンや新型の機械の導入による労働環境の改善をすることも大事な視点。それに加え、実際に農業に携わっている方々が農業の楽しさや、やりがいを伝えることで、農業に興味を持つ若者が増えるのではないかと考えている。
以前は「金山特使」という事業があり、生産農家の子どもを連れて、市場や出荷先のスーパーの見学を行っていた。現在は「金山特使」の実施はないが、そういった取組みを通して子供たちにも農業の楽しさや、素晴らしさを提供できれば良いと考えている。
また、令和6年4月に新庄市に東北農林専門職大学が設立されることにも期待している。
町ではこれまで育英資金の免除制度の対象を看護師や介護福祉士などに限定していたが、職業を限定しないものへ拡大した。特に農業面では、大学や専門学校で経験を積んだ若者が町内に定住し、金山町の農業を担ってほしいと考えている。

■金山町の農業の強みは何か?
[岸]山形県内で一番特色のある稲作を行っているのが金山農協。
金山農協は契約栽培で販売を行っており、契約率は98%。「売れる米づくり」を売りにしている。
また、金山町は酒米の生産が県内1位で、山形県で生産されている酒米の半分近くが金山産となっている。
また、現在では主流となっている、夏ニラの作付けを一番初めに進めたのも金山町で、今後もこの2つの特色を大事にしていきたい。
[佐藤]品質が良いものを出荷されていることで、金山産のニラの単価は高くなっている。また、金山町は河川の最上流部に位置し、良い水の環境が整っているため、米作りや野菜作りの面でも強みになっている。この強みはこれからも守っていきたい。
また、高規格道路が延伸し、さらに令和7年には金山町内まで延伸されるため、物流面でも強化されると考えている。

■今後の展望や目標は?
[佐藤]農業は天候や社会の状況に影響されるため難しい面もあるが、工夫次第で販路拡大や生産拡大も可能であり、生産者の皆さんには良い作柄を目指して頑張っていただきたいし、自然環境の面でも大きな役割を担ってもらっていると考えている。
これからも農業に意欲を持って維持してもらうためにも、農業者や農協などから様々な意見を聞き、町でも支援策を強化していく。
また、今年度、町では農家の規模に関わらず対象とする、農業機械の購入補助を予定している。
今後も若者が農業に興味を持てるような工夫や、スマート農業などの多角的な視点をもち、農業者が農業を続けやすい環境づくりのための支援を行っていく。
[岸]金山の農業の特色を生かしながら、「農家の所得の増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」に取り組んでいきたい。

問合せ:
役場産業課 農政係【電話】29-5644
金山農業協同組合 営農部【電話】52-2011

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