このコーナーでは、町内外で活躍する町民の方に活動や町への思いをお聞きします。今回は、手塚晴登さん(黒沢)を紹介します。
◆地元の文化財が大雨で被災したと聞いて
今回は、大学生の頃から天養寺観音堂の修復に携わる手塚晴登さんにお話を伺いました。
◇文化財の修復を始めたきっかけは?
昔からものづくりに興味があり、デザインやものづくりが学べる県外の大学へ進学しました。4年生になって卒業研究のテーマに悩んでいたところ、豪雨災害で天養寺観音堂が被災したことを知りました。地元の文化財を研究の対象として、調査や修復に参加したことがきっかけです。
◇文化財の修復はどんなところが魅力的ですか?
材料の表面に残るノミや手斧(ちょうな)の跡、墨書が見つかることがあります。当時の職人の指先感覚が感じられるところが魅力的ですね。文化財は長い間保存されているため、人の手で大事に残してきたんだなと感じられます。
また、天養寺は過去に本堂が火災に遭い、史料が焼失しています。そのため分からないことも多いのですが、墨書や彫刻が見つかると「これは〇年代に見られる特徴があるから、その時期に作られたものかも」といった推理が楽しいです。
◇印象的だったエピソードは?
修復のための調査では、使われている全ての部材の数を把握するだけでなく、大きさや状態(破損や虫食いなど)まで調べます。化粧垂木(たるき)と呼ばれる屋根材は、似たような角材が約200本も使われていて調査に苦労しました。しかし、その中の一本に漢字が彫られており、その字が天養寺の和尚さんに代々使われるものだと知ったときは感動しました。
3月号に続きます
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