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[特集]大切な農地を次世代へ引き継ぐために~「地域計画」の策定~

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山梨県韮崎市

令和5年4月農業経営基盤強化促進法等が改正され、地域農業の将来の在り方を定める「地域計画」の策定が義務付けられました。
高齢化の進行で農家が減少し、耕作されなくなる農地を、担い手を中心とする「農業を担うもの」に集積・集約して、地域農業を守ることが狙いです。

■目標地図で将来を『見える化』
「地域計画」とは、高齢化などにより、農家の減少や耕作放棄地の増加が懸念される中、5年後、10年後に、誰がどのように農地を使い農業を続けていくのかを地域の話し合いに基づきまとめるものです。
また、将来の目指すべき農地利用の姿を示した、「目標地図」を作成し、各筆ごとに利用を「見える化」していきます。
地域の皆さんが守り続けてきた農地を、次の世代に着実に引き継ぐために、農作業がしやすく、省力化につながる農地の集積・集約化などの実現に向け、幅広い意見を取り入れながら、地域計画を策定することが求められています。

■地域計画がなぜ必要?
農業者の高齢化や減少とともに耕作放棄地が拡大し、地域の農地が適切に利用されなくなることが心配されます。
こうした課題の解決には、まずは誰がどのようにして地域農業を守っていくのか、地域ぐるみで話し合いを重ね、将来の農地利用の姿について「目標地図」としてとりまとめ、この実現に向けて取り組んでいくことが必要です。

◇法改正に先駆けて、入戸野地区で中心となって取組みを進めているお二人に話を伺いました。

(内藤)内藤 真二さん
入戸野集落・資源保全会代表・中山間地域等直接支払交付金制度入戸野集落代表
保有する農地70aは人に貸している。「入戸野農業の未来を考える会」を発足

(山本)山本 弘行さん
円野地区農地利用最適化推進委員(R2~R5)・円野地区農業委員(R5~)
地域で30年以上営農している農業の担い手でもあり、猟友会メンバー。一時期は800a耕作していた。

■地域農業の現状は?昔と違うと思うことは?
(山本)平成の初めの頃は、ほとんど全ての農地を地権者が耕作しており、貸してほしくても借りることができない状況でした。その後、農業をすることに対する考え方が変わり、だんだん後継ぎが農業をしなくなり、地元の人以外の耕作者が増えてきた感じがします。今では地元の耕作者は数えるほどしか居ないですね。

(内藤)地元の人が管理している農地が激減しており、相続などで市外・県外の地権者が多くなってきました。地権者と話をすると、農地を農地として利用することだけでなく、草刈りなどの管理が大変で困るという人が圧倒的に多いですね。

■地域計画策定に向けた取り組みの意義は?良かった点は?
(内藤)地域の人と農業の件で話をする機会が多くなりました。また、地権者の年齢や後継者の有無などを地図に表してもらうことで、地域がどのような状況にあるのかを知ることができました。

(山本)「地域計画を作る」というと難しく聞こえますが、耕作を今後続けていくことが難しい人たちの農地をできるだけ集めて、新しい耕作者に借りてもらうということは、今までもやっていました。これまで、地権者は困るばかりで、例えば、農業委員会に相談するという事もしない人が多かったですが、地域全体で今後の農地の問題について考えていくことは、意義があると思います。

■今後の活動について、大切なことは何か?
(内藤)10年後にこの地域で元気に活動している人が何人いるのかなというのが本音ですが、一面の耕作放棄地ということは避けたいと思っています。補助金なども活用し、農業をしない地域内の人たちの理解も得ながら、農業ができる環境整備に努めていきたいです。

(山本)農業委員・農地利用最適化推進委員としては、地権者との信頼関係と(煙たがられるくらいの)お節介さが必要ではないかなと思います。地権者は耕作できなくても、自分の農地をきちんと管理してほしいと感じています。一方、農地を使ってくれる新しい耕作者は、地域外から来てもらうことが多いので、うまく地域に溶け込めるように調整する必要があります。農地を農地としてきちんと維持していけるようにしていきたいですね。

■地域の農業は、地域の人たちが一番わかっている!
今回は円野町入戸野地区の事例を紹介しましたが、他にも清哲町折居地区など、農業委員・農地利用最適化推進委員が中心となって、計画作りに着手している地域がいくつかあります。(策定は概ね「区」単位で行っています。)
より良い計画を作り、今後も農地を守っていくためには、地域の現況を把握し、地域農業を心配している地域の方一人ひとりの理解と協力が必要です。
市では今後も地域計画の策定を目指していく地区を順次支援してまいります。

問合せ:産業観光課 農林振興担当
【内線】222

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