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〔特集〕成人の8人に1人がかかっている 慢性腎臓病を知ろう(1)

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岐阜県恵那市

「肝腎要(かんじんかなめ)」という言葉があるように、腎臓は人間が生きていくうえで欠かすことができない臓器です。
今回は、腎臓の役割を紹介します知識を深め、慢性腎臓病を予防しましょう。

■慢性腎臓病とは
現在、成人の8人に1人が慢性腎臓病に罹患(りかん)しているといわれています。
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが低下した状態や、尿の中にたんぱくが漏れ出てしまう状態(たんぱく尿)の総称です。慢性腎臓病になっても、かなり悪くなるまで自覚症状はほとんどありません。
◆慢性腎臓病に注意が必要な理由
腎機能が低下すると、次のことに注意が必要です。
・心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが大きくなる
・腎機能が失われるほど悪化すると人工透析が必要になる
そのため、慢性腎臓病は予防や悪化を防ぐことが大切です。

◆危険因子をチェック
ここで、慢性腎臓病の危険因子をチェックしてみましょう。
・血圧が高い
・糖尿病がある
・肥満
・タバコを吸う
・メタボリックシンドローム
・コレステロールや中性脂肪の値が高い
・尿酸値が高い
当てはまる項目があると、腎臓の血管が傷ついている可能性があります。

■生活習慣病との関係
慢性腎臓病には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病が深く関係しています。
高血圧では、普段の血圧が高ければ高いほど、糖尿病では血糖検査値が高ければ高いほど、慢性腎臓病になるリスクが高まることが分かっています。
慢性腎臓病を予防するためには、生活習慣病の早期発見と早期治療が重要です。

■腎臓の働き
腎臓は、腰の辺りに、左右2個あります。
そら豆のような形をしていて、1個が150グラムほどの、握りこぶしくらいの大きさです。
小さな臓器ですが、心臓から送り出される血液の20パーセント程が流れています。毎日150リットルもの血液をろ過し、そこから1.5リットル程の尿を作っています。
一つの腎臓の中には、細い血管が糸くずのように塊となった「糸球体」が約100万個あります。この糸球体が血液をろ過する機能を持ち、血液中の老廃物を排出して体の中をきれいに保ちます。

◆他にも大切な役割があります
その他にも、
・体内の水分量の調整
・ナトリウムやカリウムなどの電解質バランスを保つ
・血圧をコントロールする
・赤血球をつくる命令を出す
・ビタミンDを活性化し、骨を丈夫にする
など、腎臓には、体を維持するために欠かすことができない重要な役割があります。

■慢性腎臓病の進行
糖尿病や高血圧、動脈硬化症などによって糸球体の細い血管が傷つき、壊れていくと、腎臓のろ過機能が悪くなります。
ろ過できないと、尿を作ることができず、血液中の不要なものを尿に捨てることができません。老廃物や水分が体内に溜まってしまい、体を正常な状態に保つことができなくなってしまいます。
(詳細は本紙をご覧ください。)

◆進行ステージ
下の表は、慢性腎臓病の進行ステージと、そのときの腎臓の状態を示したものです。
慢性腎臓病は、大きく五つのステージに分けられます。第1期から3期であれば腎機能は回復できますが第4期以降は回復が難しいとされています。
健康診断の結果を手元に用意し、「eGFR(推算糸球体ろ過量)」の値を表と照らし合わせて、自身の腎臓の状態を確認してみましょう。

▽慢性腎臓病の進行ステージ

◆悪化すると人工透析に
人工透析は、慢性腎臓病が悪化して腎不全になると必要になる治療で腎臓に代わって体の老廃物を排泄します。透析治療は、生涯にわたって続けていかなければなりません。
左のグラフは、新たに透析となった方の原因を表しています。透析の原因となった疾患では、糖尿病性腎症と腎硬化症が多くを占めています。

▽透析導入の原因となった原因疾患

▽透析導入の原因となった三大疾患
(1)糖尿病性腎症→糖尿病が原因
(2)腎硬化症→高血圧が原因
(3)慢性糸球体腎炎→免疫の異常、炎症が原因

■interview‐患者の声‐吉田則男(のりお)さん(大井町)
透析になってからでは遅いと伝えたい

◆当時の生活習慣
食事(1日):コンビニ弁当5~6個、ビール500ミリリットル3本、野菜は日常的に食べない
運動習慣:無し
喫煙:1日約40本
体形:身長165センチ、体重90キロ
BMI:33.1(25以上が肥満)
職場の健診で生活習慣の見直しを指摘されていた。

◆人工透析を始めるまで
▽どんな生活をしていましたか
トラックの運転手をしていて、今思えばかなり不規則な生活でした。
50歳頃に視力が下がったので眼鏡を作りに行きました。そこで眼の異常を指摘されて医療機関を受診し、検査をしたら糖尿病だと言われました。
▽その時の腎臓はどうでしたか
腎臓もかなり悪い状態であることが分かり、その年にもう透析を始めることになりました。仕事はそこで退職しました。

◆現在の治療内容
▽透析の頻度は
毎週火、木、土曜の午前中に、病院で血液透析をしています。高血圧もあって10種類ほどの薬を飲んでいます。
主治医から運動するよう言われ、今は毎朝1時間ほど散歩しています
▽体や日常生活にも負担ですね
透析は4時間くらいかかり、ずっと横になっているのは疲れますね。当初は水分の摂取量などに慣れるのも大変でした。仕事を辞めざるを得ないというのも辛かったです。

◆皆さんに伝えたいこと
とにかく、食事に対しての意識を大切にしてほしいです。透析になってからでは遅い。後の祭りです。
若い頃は、親が食事や体型のことを心配してくれていたのに、気にも留めませんでした。今となっては、ありがたみが分かります。
この記事を読んで、少しでも自分の健康に気をかけてもらえるとうれしいです。

※吉田さんは、透析の大変さを知ってもらうことで、少しでも多くの方に関心を持ってもらえたらと、自身の経験を話してくださいました

問合せ:健幸推進課
【電話】26-2111(内線289)

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