■動き出した取り組み
市長:構想を形にしていくために、現在取り組んでいることを教えてください。
◇珈琲が生むつながりとデジタルの活用
春名:わたしは今、具体的な取り組みを2つ進めています。
1つ目は、令和5年11月に開催した「Wonder-full(ワンダフル) days(デイズ)〜珈琲(コーヒー)と、○○○(エトセトラ)」です。「珈琲」の当て字を考えた、津山ゆかりの洋学者、宇田川榕菴にちなみ、「珈琲」をテーマにした賑(にぎ)わい創出の取り組みです。
本や音楽、食べ物など、珈琲となじみの深い文化を通して、出展者と来場者が一緒になり、新しい可能性や楽しみを見付け出してもらえたように思います。この企画をきっかけに、地域文化の掘り起こしや、起業につながるなど、文化と経済が両立する豊かなまちになってほしいです。
2つ目は、スマートフォンなどのデジタル端末を活用した新しい観光プラットフォーム(基盤)作りです。既存の有名な観光ルートをなぞるのではなく、わたしたちがまちに出て、これまで見落とされていたいろいろな魅力を集め、体験という視点で再編集し、観光客一人ひとりの目的に合った観光ルートを作りたいと思っています。
また、訪問先、出会いの記録などを、観光客や地域で関わった住民の皆さんがSNSで共有し、さらに、これから訪れる人の「旅前」の情報として活用できるような仕組みにしていきたいです。
◇デジタル絵本と空き家対策
土山:わたしも、2つの取り組みを進めています。
1つ目は、津山人であることに誇りを持つ「人づくり」をテーマに、日本最初の大学教授ともいわれ、西新町出身の幕末の洋学者、箕作阮甫に焦点を当てた「デジタル絵本」の制作を考えています。新しいことへの挑戦や、地道に努力し結果を残した姿が、特に若い人に伝わるような内容にしたいです。令和6年秋ごろの完成を目指し、住民の皆さんを声優に迎え、高校生に編集などの作業に関わってもらうなど、オール津山で制作したいと思っています。
2つ目は「空き家対策」です。城東・城西地区でも多く見られる空き家は、市全体の課題です。空き家を活用したビジネスプランを考えたり、楽しく学んだりできる場を作りたいと考えています。3月に、第1回目を試験的に開催する予定です。住民の皆さんに広く参加してもらい、実際に空き家を見ながら、空き家問題に少しずつでも意識が向くような取り組みを目指していきたいです。
▽Wonder-full days〜珈琲と、○○○(エトセトラ)
11月18日・19日、津山国際ホテル跡地(山下)で開催。2日間で延べ43店舗が出展し、約2,100人が来場しました。
▽デジタル絵本
津山ゆかりの偉人の功績などを分かりやすく映像化。幕末の地理学者箕作省吾が世界地理書「坤輿図識(こんよずしき)」を著すまでを描いたデジタル絵本は、箕作阮甫旧宅(西新町)で展示中です。
◇城泊事業が進行中
市長:市では今、城泊(しろはく)事業を進めています。城泊は、城や城下町などの歴史的資源を、宿泊などの観光施設として積極的に活用し、地域の活性化を目指すものです。津山城の備中櫓、衆楽園の迎賓館、城東地区の梶村邸などの活用方法を考えています。歴史遺産で宿泊するなど、特別な体験を通して津山の歴史や魅力を実感してほしいです。
■目指す津山の姿
市長:構想を通じてどんな津山になってほしいですか。
◇最先端の取り組みを発信
早田:津山には山や川などの豊かな自然があります。そこからできた木材などを活用して作られた、伝統的なまちなみが観光資源になるなど、地域の豊かな資源を社会の中で循環させる仕組み「エコシステム」が整う最先端のまちです。こういった地域の魅力を住民の皆さんが再認識し、広めていくことができれば、より多くの人が訪れてくれると思います。
◇自慢できるまちに
須江:津山で育った人が、まちじゅう博物館構想の取り組みを通じて、津山に暮らして良かったと、誇りを持てるようになってもらいたいです。市外の人に「津山ってどんなまち?」と聞かれた時、堂々と津山の良さや魅力を伝えることができる人が増えてほしいです。
◇ふるさとを愛し敬う
土山:まちに誇りを持ち、喜んで住む人が増えることで、観光客が人の営みやおもてなしを感じ、また来たいと思うようになると考えています。ふるさと津山を愛し敬う気持ちがないと、まちは続きません。地域の担い手の発掘や育成などの活動を地道に積み重ねていくことで、まちの活気も戻ってくると思います。
◇まちの魅力を再認識
垂井:次の世代の人が面白いまちと感じ、住み続け、たくさんの人を呼び込めるまちになってほしいです。箕作阮甫や、宇田川榕菴のことを知らない人も多いと思います。洋学以外の津山の魅力も、構想の取り組みを通じて、市内外のたくさんの人に知ってもらいたいです。
◇次の世代を考えたまちづくり
春名:将来世代に負担を先送りせず、次の世代が楽しい暮らしを続けられる基盤づくりを目指したいです。また、津山で生活する人、訪れた人、思いを寄せてくれる人とのそれぞれの交流の中で生まれる気持ちの変化や、学びを大切にできるまちになってほしいです。
◇一人ひとりが「自分ごと」として参加するまちづくり
市長:それぞれの人が感じる津山らしさを大切に、一人ひとりが理想のまちの姿を思い描きながら「自分ごと」としてまちづくりに参加することで、津山のまちを未来につなぐことができます。まちじゅう博物館構想のもと、津山にしかないもの、津山でしかできないことを、住民の皆さんと一緒に発見し、共有・活用しながら未来に向けたまちづくりを進めていきます。
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