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特集 自然と教育を繋ぐ(1)

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岡山県西粟倉村

■自然と教育を繋ぐ
2020年4月に立ち上がった「一般社団法人Nest(ネスト)」。村の中の自然や産業など豊かな資源を活用しながら、西粟倉村すべてを学びの場として子どもたちの成長のきっかけを作りだされています。
中学生の職業体験を受け入れてくれる企業を探す、お祭りの歌の由来を話せる人と学校をつなぐ、馬で登校する夢を叶える伴走をする、などサポートの仕方は様々です。
今回はNestのメンバー、福岡要さん、今井晴菜さん、青木采里奈さんに活動を通して感じること、これからについてお聞きしました。

■教育コーディネーターという役割
今井さん(以下敬称略):
一般社団法人Nestは、現在、福岡、青木、今井の3人が「教育コーディネーター」をひとつの軸として活動しています。幼稚園・小学校・中学校の中に入り、地域学習を先生たちと一緒に作りあげています。先生が割ける時間が少なく、地域との繋がりが作りにくいことがこれまでの課題でしたが、より充実した学習にするためのつなぎ役となっています。
一般的な地域学習だと、たとえば、見学、話を聞き、壁新聞にまとめ、校内掲示する、という単調なものが多いですが、私たちは先生とアイディアを出し合いながら授業を組み立てていくことで、学校内だけでは実現しにくい地域のおもしろポイントの発掘や企業との連携、村外へ発表する機会づくりなど、授業の幅を広げています。先生の努力もあり、地域学習の項目の種類も増え、実践しながら学ぶ時間も増え、小学校も中学校も以前より報告の場も増えるなど、少しずつ変わってきていると感じています。

■「15の春」の課題
福岡さん(以下敬称略):
Nestが立ち上がる前には、村内の資源を学校の授業に組み込む「教育コーディネーター」は、教育委員会が担っていました。また、役場地方創生推進班の中では、村の教育を総合的に支援する「教育サポートセンター」があるといいよねという意見も挙がるほど役場職員の教育に対する関心が高く、いろいろなことを実践されていました。
その想いには「15の春」の課題が大きく関わっています。高校がない西粟倉村の子どもたちは、15歳の春(中学校を卒業する春)を迎えると、多くの子が西粟倉村外へ生活の軸を移さなければいけません。いきなり寮生活が始まったり、大人数のクラスの中で友達の作り方がわからなかったり、今までの当たり前が当たり前ではないことに気付き、周囲とうまくなじめず、自己肯定感が下がってしまうことにぶつかっていたそうです。
そこで、役場の有志の方が発起人となって小・中学生を対象に月1回開催される「あわくらみらいアカデミー」という取り組みが始まりました。小学校、中学校の間に自分たちの「やってみたい」を自分たちで叶えることができたという自信があれば、外に出たときに生きていく土台になるだろう、15の春までに自立してもらう手助けをしよう、と伴走されてきました。現在、あわくらみらいアカデミー事業もNestで受け継ぎ、いろいろな「やってみたい!」を叶える応援をしています。教育コーディネータ―事業と2つあわせることで、公教育と社会教育両面に関わり、子どもたちの自立を多面的に支援しています。

■学びを活かす
青木さん(以下敬称略):
幼稚園で村たんけん、小学校で総合的な学習の時間を経て、中学校は職場体験が村内の方と関わる大きなイベントになっています。それまでに体験をして学んだことを中学校の職場体験でも活かすにはと、先生方と協力してキャリア教育をどう進めていくかを常に考えています。今年度は、初の試みとして職場体験でお世話になった方へインタビューしてまとめてもらいました。冊子に印刷し、村内の施設に設置して多くの人に見てもらうことができました。校外の人がかかわる機会としてほかにも、社会人に話を聞く「キャリア教育講演会」や「話を聞いてみたい大人」を招いて対話をする会「だっぴ」も伴走しています。
他教科の授業時間との兼ね合いや企業の方との調整が簡単ではないという課題もありますが、村内だけで少なくとも19以上の企業に職場体験の受け入れを依頼できる珍しい環境で、生徒たちには選択肢がたくさんあることを分かってもらえたらと思っています。

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