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【特集】令和6年 新春座談会(2)

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岩手県久慈市

▼活動の成果と起業
▽市長
現在現役の隊員として活動されている4人の皆さんは自身の活動の成果と起業することについて、どのように考えていますか。

▽西村
起業に向けて、まず8割は生計を立てていくことを目指しています。久慈は、個人で漁をしている人がほとんどですが、技術の伝承をしないまま、辞める人が多い状況です。現在は、漁師である親のやり方を一つずつ覚えながら起業に向けて準備を進めています。
ただ獲って売るだけというのは儲かる仕組みではないと思っているので、自分で獲ったものを自分で加工し、売ることを久慈市民市場で挑戦しています。養殖業も、ただ出すだけでは高く売れないとの話もあります。こだわって作ったものを高く売りたい、そういった人とのつなぎ役に自分がなれたらという思いもあります。

▽市長
第1次産業にも、経営感覚が求められる時代と感じています。売り方についてもマーケティングが必要になってくる。西村さんの前職の経験が生きるものと思います。ぜひ頑張っていただきたいです。

▽西村
1月には道の駅いわて北三陸で4市町村の協力隊や地元の生産者を巻き込んだイベントを企画(本紙19ページ参照)。起業後も漁師のほか、人を巻き込むことを続けていきたいと考えています。

▽市長
市町村関係なく、協力隊関係なく、みんなが協力し、地元の人が関わっていけばいいなと思います。

▽阿部
ヴィヒタを広く販売していくためにクラウドファンディングの準備を進めています。その返礼品として、ヴィヒタを作る過程で出る不要な枝葉を使い、アロマ水や炭を作成しました。原材料には倒木や倒れる危険性のある木を使い、ほとんど余すことなく活用できています。利益が生まれれば、それが保全につながり恒久的な事業になるのではないかと考えています。

▽市長
今までの発想の転換が求められると思います。一人で考えると詰まってしまうこともありますが、多くの人に関わってもらい、広くアイディアを募集していくのもいいのではないかと思います。

▽小野沢
短角牛の肥育に力を入れています。山形村短角牛は国産飼料を与えて山形で肥育する条件があります。しかし、餌の比率は人それぞれで、マニュアルが確立されていません。私のように肥育を始めようと思ったときにハードルが高い状況です。現在お手伝いをしている農家で毎日餌の量を記録し、コスト計算をしています。これをデータ化し、肥育をしたい人が誰でも見れるらようにしたいと考えています。儲けを出すにはある程度の牛を買う必要があり、利益に対してさまざまな経費が掛かってきます。そこがデータとして分かるマニュアル作成をしていきたいです。新規の就農者、事業を引き継ぐ人がスムーズに始められれば良いと思います。

▽市長
後継者不足は大きな課題です。個人事業主に何かあって急に続けられないとなれば、ブランドが消えてしまう可能性もあります。会社として組織すれば、経営者が変わっても事業が続いていく。働く人に休みができ、給料なども確保されます。農業では会社経営があります。後継者も農業をやりたい人を募集をかけて雇うことができます。

▽西村
農業は法人化が進んでいると聞きます。漁業や畜産業は個人事業主が多く、継ぐ人がいないまま辞めてしまう人が多い状況です。データやマニュアルが、うまく引き継がれる仕組みができていれば、やる気がある人が集まり、続いていくのではないかと思います。いざ法人化するとなったときにはどうしたらよいかというハードルはあるように感じます。

▽小野沢
餌の割合が統一されていないために、山形短角牛のブランドの中で違いが出てしまうことがあります。全国のブランド牛はマニュアルが確立されているから続いていると思うので、それぞれではなく統一してやる意識を上げていく必要があると考えています。

▽米澤
山ブドウを使ったピューレやリンゴを材料にしたパフェを試作しました。県産、市産食材を使った商品を開発し、アピールしていきたいです。ふるさと納税の返礼品に登録しないかという声もいただいたので、申請に向けて準備しています。拓陽支援学校で調理を教える機会もいただきました。お菓子作りをやりたいという生徒もいるので、将来的には雇用も考えています。地域のイベントやサークル活動にも参加し、たくさんのつながりを持つことができました。そうした関係を大事にし、仕事につなげていきたいと思います。

▽市長
実際に起業されたお二人は、起業することについてどう感じていますか。

▽藤織
起業当初は計画していた事業がうまくいかず、コロナなどの影響もあり大変な時期がありました。現在はイベントも増え、コロナ禍から継続して行っている情報発信業務や移住コーディネーターの仕事と併せて忙しく活動しています。働く中で課題はたくさん見つかっていますが、久慈で仕事にできることがたくさんあるということだと思います。どこから取り組んでいくのか、従業員を雇用し手を広げていくのか考えています。

▽田端
自分と従業員の二人で営業できているので現状がボーダーラインだと思います。現在スイーツ販売を別な人にお願いし、アンバーホール2階のスペースを2つの店舗で営業しています。コーヒーとスイーツそれぞれを目当てに来る人の集客が期待できます。一人でできることは限られているので、自分の得意不得意を見極めることが大切だと思います。スタッフの得意不得意とうまく掛け併せ、相乗効果が出るようにすることを心掛けています。

▽市長
現在は自営業の人が少なくなっています。子育てが落ち着いた人が仕事を探しているとよく聞きますが、自分たちで仕事を始める選択肢があると思います。自分で始める人が増えてくると久慈も面白くなってくると思います。

▽藤織
インボイス制度や登記など、起業することへのハードルが、少しずつ上がってきていると感じています。私のように事業所をあまり必要としない形の仕事もありますが、会社の登記は、事業所を登録する必要があります。登記簿は誰でも閲覧できるので、自宅住所の登録はためらう部分があると思います。登記もできるシェアオフィスがあればいいのではないかと考えています。

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