フォーカス 奥出雲創生の現在地 「雲州そろばん」(1)

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第53回雲州そろばん珠算競技大会が、8月3日に、町商工会と雲州算盤協同組合の主催により4年ぶりに開催され、全国から約208名が参加しました。
この大会は、伝統産業である雲州そろばんを通じた地域振興のほか、そろばん技術の向上と基礎学力の増進を目的としています。
競技は、個人競技と種目別競技があり、個人競技では、乗算・除算・見取算・見取暗算の合計点で競い、種目別競技では、読み上げ算・読み上げ暗算・フラッシュ暗算があり、それぞれの部門で上位を決定します。
参加者は、日頃の成果を充分に発揮するため、真剣にそろばんと向き合いました。
今月号では、国の伝統的工芸品に指定されている「雲州そろばんを学ぶ人」について特集します。

◆子どもの計算力を伸ばす
町内には、5か所のそろばん教室があり、日々、子どもたちがそろばんの技術を磨いています。
◇自分のペースで問題に挑む
三成のそろばん教室では、2〜6年生までの22名が学んでいます。高橋真奈美先生の「見取り算、7分計ります」の掛け声で、それまで賑やかだった教室が静まり返り、集中して問題に挑みます。その一方で、そろばんを学んで間もない2年生は、珠のはじき方を、簡単な足し算や引き算で学んでいきます。学校とは異なり、みんなで同じ事について勉強するのではなく、個人のレベルに合った問題を解いていきます。

◇人と人との関わりの場でもあるそろばん教室
もちろん先生が、わからない所を丁寧に教えてくれるのですが、上級生が下級生を教えることもあり、勉強する場だけではなく、他学年との交流の場にもなっています。

◇基礎的な計算の繰り返しが、地頭を鍛える
「そろばんは、計算力だけでなく、あらゆる学習の基礎である『考える力』や『物事の感覚をつかむ力』を育てることに効果的です。この力を身に付けるため、そろばんの繰り返し学習により、地頭を鍛えることが必要です。」と話されました。
子どもたちは、現在、そろばんにより地頭を鍛えて人間の幹を育てる大切な時期。将来、どのような花が咲くでしょうか?

◇子どもたちに聞いてみました!!
・何故、そろばんを習い始めましたか?
「計算が苦手だったから」
「おじいちゃんやおかあさんがやってたから」
・そろばんを習い、計算力はどうなりましたか?
「難しい問題でもできるようになった」
「計算のスピードが上がった」
・そろばんのどんなところが好きですか?
「珠を弾くところ」
「数字がおもしろく感じるところ」
「難しい問題にチャレンジするところ」

◆大人もそろばん
「今日も楽しくそろばんします。パチパチはじけば脳元気!ワッハッハッハッハー」
この掛け声とともに始まったのが、毎週火曜日に伝統産業会館で行われる、「大人のそろばん教室」です。元々、そろばんが、認知症予防にどれだけ効果があるかを測定するために開かれた「大人のそろばん教室」ですが、今では大人の習い事となり、約10名の生徒の皆さんが集まります。
◇ハイレベルな計算力
まずは、読み上げ算から。計算は、1桁から13桁までに及びます。先生の「○桁から始めます」の合図に合わせ、生徒の皆さんは真剣な眼差しで、そろばんに向かいます。先生の発する数字を、聞き逃さないよう、素早く数字をそろばんに入れていきます。そして、計算をして出た答えを、みんなで読み上げていきます。約30分の読み上げ算をこなした後は、休憩時間となり、先ほどとは打って変わって、笑い声の絶えないにぎやかな時間となります。

◇何故、そろばんを学ぶのか?
生徒のみなさんへ、そろばんを習い始めた理由を聞いてみました。「そろばんをするのは、認知症予防!頭の体操です」「そろばんをする時、集中します。集中した後、気持ちがすっきり爽やかになって気持ちがいいんですよ」という回答が返ってきました。
中には、「女学生に戻った気分♪」という声もありました。
大人のそろばん教室を主宰する佐伯とも美先生は、「この教室は、誰かと競うことを目的としておらず、自分と向き合う時間です」と話されました。

◇いくつになっても学ぶ気持ちを忘れない
休憩時間後は再びそろばん。次は、先生が準備した問題をひたすら解いていきます。
ほとんどの方が、学生時代に「少しやった」という程度。「大人のそろばん教室」に入り、掛け算、割り算だけでなく小数の計算やルートの計算を勉強した方ばかりです。今では、家計簿も電卓より、そろばんの方がやりやすいと声を揃えて言われました。「大人のそろばん教室」では、人生経験豊富な皆さんが、新しい学びに挑んでおられました。
そろばんに興味のある方は、是非「大人のそろばん教室」に足を運んでみてはいかがでしょうか?