松江の文化力の次世代を担う人を紹介します!
■Vol.7 音頭取りはホーランエンヤの華
田村仁(たむらじん)
松江市馬潟町出身、在住。平成21年のホーランエンヤから馬潟で音頭取りを務める。社会福祉法人で働く傍ら松江スケートボード協会会長、ハンドメイド作家など幅広い分野で活動をしている。
私は馬潟町出身なので、子どもの頃からホーランエンヤは身近な存在でした。
馬潟の場合、踊り手(太鼓、采振(ざいふり)、剣櫂(けんがい))は中学生までの子どもが務めることになっているので、平成14年の時に既に高校生だった私は出番がありませんでした。
初めてホーランエンヤに関わったのは、平成21年、27歳の時です。音頭取りの一人が引退し、師匠となることから、次の担い手として私に白羽の矢が立ちました。馬潟は、一度踊り手として船に乗ると、もう船に乗ることができないという伝統があるので、若い年代の中で踊り手の経験がない私が選ばれたのだと思います。
ホーランエンヤの練習は、本番の約半年前から始まります。唄には楽譜のような物はなく、師匠から教えていただき、耳で覚えます。遠くまで届くよう意識して唄いますが、カラオケが上手な人が音頭取りも上手かというと必ずしもそうではありません。最初は独特な発声方法と節回しに、大変苦労しました。初めて参加した平成21年の時は、声の出しすぎで喉が荒れて頻繁に熱が出ていましたが、ある時から喉が強くなり、カラオケに行っても、自分でもびっくりするような声量が出るようになりました。
音頭取りの魅力は、伝馬頭取の合図によって唄うことで踊り子が舞い、櫂も唄に合わせて漕ぐところです。
本番では沢山の人が見守る中で唄うのですが、唄が途切れるほんの一瞬、静寂が生まれる時があり、この瞬間には鳥肌が立つことがあります。私は、音頭取りはホーランエンヤの華だと感じています。
一方で、他の伝統行事もそうだと思いますが、少子高齢化で担い手を集めることが難しくなっていることに危機感を感じています。現在のところ、馬潟では在住者や出身者などで構成が出来ていますが、乗船者を確保することが難しいだけでなく、馬潟櫂伝馬の魅力の一つである子どもの踊り子についても、集めることが難しくなっていることは課題の一つです。
370年以上続いている伝統行事を絶やすことのないように、今後も馬潟の音頭取りとしてホーランエンヤを盛り上げていきたいと思います。
問い合わせ:文化振興課
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