■新年のごあいさつ
◯病院事業管理者 大谷 順(おおたにじゅん)
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。昨年は、数年来私たちの生活に暗い影を落としていた新型コロナウイルス感染症も、感染症法の扱いが2類から5類に格下げとなり、特別な感染症という考えも薄れてきて、いよいよこれまでどおりの生活に戻りつつあります。しかしながら、新型コロナウイルスは変わらず油断のならない相手と考えていますし、病院は健康弱者とともに歩んでいるため、「ウイルスを持ち込まない・持ち込ませない」ように、当面は厳しい感染防御体制を維持し続けるつもりです。市民の皆様には面会制限などで引き続きご不便、ご迷惑をお掛けいたしますがご理解、ご協力をお願いいたします。
さて、本年は年度初めの4月より、新しい取り組みを2点行いますので、この機会にご紹介します。まずは「医師の働き方改革」です。勤務医の残業時間の上限が、罰則付きで厳格に管理しなければならくなります。この目的は、医師の長時間労働を是正することによって、安全安心な医療が提供できるようにすることです。もう一つは、診療群分類包括評価(DPC)の導入です。
これは、入院費の計算において、従来の医療行為ごとに計算する「出来高」方式とは異なり、疾患や診療内容によって決められた定額料金で医療費を計算する「包括払い」方式のことです。この目的は、医療の質の標準化が図れるということで、国は全国の急性期病院での導入を積極的に進めているところです。
いずれも新しい取り組みであることに加え、来年度は医療、介護報酬の改定、地域医療構想達成期限の一年前、物価、材料費にも影響する物価問題など不確定要素がいくつも存在するため、不安は拭い切れませんが、今年の干支である甲辰(きのえたつ)は、新しいことを始めて成功する、いままで準備してきたことが形になるという、縁起の良い年であると言われておりますので、当院の新しい取り組みが皆様のご理解ご協力のもと、順調に進むことを願っております。
本年も職員一同、地域の皆様とともに地域医療の維持、発展に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◯院長 西 英明(にしひであき)
新年あけましておめでとうございます。
本年が皆様にとって、良い年となりますよう、心からお祈り申し上げます。
昨年9月16日の雲南地域医療を考える会・シンポジウムにおいて、雲南市立病院の取り組みを、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)対応と総合医育成の2点に絞ってお話しさせてもらいました。
まず急増する新型コロナ患者に対して、島根県の要請に応じ、包括ケア病棟48床を、感染症病棟4床から40床に転換することで、臨機応変に対応してまいりました。そのため島根県下で最大の受け入れ病院となりました。この経験を元に、これから発生する新興感染症に対しても、雲南市立病院は同様に、臨機応変に対応可能と自負しています。
次にこの雲南地域は、医師偏在指数が全国335の二次医療圏中328位と、全国有数の医療過疎地域です。そこでこの少ない医師数で効率よく診療するには、高度な三次医療は都市部の病院に任せて、需要の高い二次医療までを、この雲南地域で完結させるべきと考えています。そのため雲南市立病院では、幅広く、なんでも診てくれる総合医を育成するべきと考え、全国に先駆け、総合医育成に取り組んでいます。その効果もあって、現在雲南市立病院では、10人の総合医(地域ケア科)が在籍しています。彼らが、一般内科医として幅広く診療し、病棟では各診療科の入院患者を病棟医として診療し、さらに退院支援にも関わり、地域包括ケアシステムの一翼を担っています。彼らはこの雲南地域でますます活躍してくれると確信しています。
感染症の流行をはじめ、世界情勢、経済状況等々、私たちを取り巻く環境は常に変化していきます。持続可能な医療とは、その環境の変化に臨機応変に対応できる医療と考えています。われわれ雲南市立病院は、これからも“地域医療日本一”をめざして、臨機応変に精進してまいります。これからも皆様の叱咤激励をよろしくお願いいたします。
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