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市政の動き

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広島県安芸高田市

■財政を巡る問題点
ここ数ヵ月、山梨県の市川三郷町が世間の関心を集めています。人口1.5万人の小さな町がにわかに有名になった理由は財政の悪化です。町は7年後に財政破綻する恐れがあるとし、2023年9月に「財政非常事態宣言」を出しました。同町の例を通して、本市が抱える問題点を明らかにします。

◇市川三郷町と安芸高田市の比較
まず、同町の財政状況を確認しておくと、2021年度に実質単年度収支[※1]は5年連続の赤字[※2]、経常収支比率[※3]は98.1%を記録しています。一方、本市も2019年度に実質単年度収支は4年連続の赤字、経常収支比率は98.2%となり、続く2020年度は経常収支比率こそ92.8%へと改善しましたが、実質単年度収支は5年連続の赤字に終わりました。
ほぼ同時期に、両市町は似た状況に陥っていたと言えます。もっとも、当時の財政調整基金[※4]を比べれば、市川三郷町の19億円に対して、安芸高田市は6~8億円と大きく見劣りするなど、本市の方が悪い面すらありました。

◇放置された財政悪化
このように本市の財政は2016年度から2020年度にかけて悪化しました。しかし、その認識を持つ市民はほとんどいなかったはずです。執行部はもちろん、報告を受ける立場の議会も認識していました。そして、議会は予算と決算の全てを承認しています。議会が安全装置としての役割を果たさなかった結果、財政悪化は放置されました。

◇無理・無駄な事業が財政悪化に拍車
この間、道の駅「三矢の里あきたかた」の建設や「田んぼアート公園」の整備も進められました。前者は総工費22億円を費やし、完成後は商業施設にもかかわらず初年度から3千万円もの赤字補填(ほてん)(指定管理料)を必要としています。後者は、観光施設でありながら、全く採算が合わない想定となっていたため、計画そのものを破棄するに至りました。

◇背景は二元代表制の機能不全
市川三郷町の財政が悪化した背景もほぼ同じです。非常事態宣言を出す1年4ヵ月前に、同町は財政が悪化した経緯を振り返っていますが、そこには合併以来の町政運営が問題点として指摘されています。執行部(=アクセル)と議会(=ブレーキ)が同調し、二元代表制が持つ本来の機能が失われた結果です。

◇財政再建に向けて
こうした中、本市では2021年度予算の編成から急ぎ財政の健全化に取り組まなければなりませんでした。あらゆる事務・事業を対象に、優先順位をつけ取捨選択する作業です。その結果、実質単年度収支は2021年度に黒字化した後、2022年度に再び赤字化しています。一方で、経常収支比率は90%台前半に収まり、財政調整基金は9.2億円まで回復しました。新型コロナや災害対応の影響がある中、本市の財政は何とか最悪期を脱しています。
もっとも、少子高齢化と人口減少という構造的な要因によって、今後も財政に対する負荷は着実に増していきます。このため、2023年10月に開催した財政説明会では、公共施設の具体的な廃止スケジュールを示し、今後の方向性を定めました。「選択と集中」を進め、持続可能な形を見出さなければなりません。

▽本町の財政状況について(2022年5月)
※引用元「市川三郷町ホームページ」
(町税収入や普通交付税、臨時財政対策債といった)歳入の減少と、人件費、公債費、扶助費等の義務的経費等の増大により、歳出を歳入で賄えない「歳出超過」が恒常化しておりました。
3町合併後に進めるべきであった公共施設の統廃合にも手を付けず、既存事業を見直すこと無く、町民生活の向上に繋がるとの思いの中で、新規事業を展開していくうちに財政状況の悪化を招いていたという要因も反省しなければなりません。

[※1]単年度収支から黒字要素(財政調整基金の積み立て等)や赤字要素(財政調整基金の取り崩し等)を加減したもので、実質的な収支を把握するための指標。
[※2]2021年度は地域振興基金を取り崩して表面上は黒字を確保しているが、実態としては赤字状態が継続した。
[※3]経常的な収入が、どれくらい経常的な支出に充てられているかを示す指標。数値が高いほど自由に使えるお金が少ないことを意味する。
[※4]貯金に相当するお金。

市長 石丸 伸二

■主な動き
10/27[面談]芦田委員長(総務文教常任委員会)に傍聴者を入れての協議会の開催について申し入れ。
10/30[議会事務局への連絡]「議会だより」が虚偽を含む不正確な内容であるため、新年度予算に計上できないと議会事務局長に連絡。
11/8[議長からの書面]通知新年度予算における「議会だより」発行の予算化を要求。
11/8[総務文教常任委員長からの書面回答]10月27日の申し入れに対し、傍聴を受け付けないと回答。
11/10[議長への書面通知]2021年1月19日の全員協議会において執行部が退席に至ったことに対する議長及び副議長の責任について、全員協議会での意見聴取を申し入れ。
11/13[議会事務局への連絡]議長、新田委員長(議会広報特別委員会)に「議会だより」の虚偽の記載について説明を要請。
11/22[議会事務局からの連絡]11月10日付の申し入れを拒否。
11/28[面談]福岡県川崎町の杉本数政議員と地方政治について意見交換。
11/30[WEB面談]山梨県中央市の新海一芳議員と地方政治について意見交換。

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