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口和郷土資料館

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広島県庄原市

開館日:月・木・土 9時~17時

■削蹄鎌(さくていがま)
削蹄とは、牛のひづめを削ることです。牛は、ひづめが長くなりすぎると歩行に支障がでたり、病気にかかったりするため、定期的に削蹄鎌で削り、健康を維持する必要があります。
今回紹介するのは、昭和15~16年ごろに最も多く生産された削蹄鎌です。
口和町宮内の鍛冶屋谷口勘六(たにぐちかんろく)さん、子の俊篤(としあつ)さんが作った刃渡り約8センチ、厚さ約2ミリの両刃の削蹄鎌で、当資料館にも展示しています。
製造者を示す刻印(銘)は「白菊(しらぎく)」です。谷口さんの作ったものには、「白菊」のほかに「安正(やすまさ)」の銘が入れられました(主におの、なた)。
谷口さんの削蹄鎌は、地域の人の提案を受け改良が重ねられました。特徴は、尻(柄と刃を接続する部分の峰側)にある角です。
この角は、ひづめの間にある泥を落とすためのもので、角があることにより、道具の持ち替えが不要となり、効率的に作業ができます。
元々、角はありませんでしたが、使用者からの要望を基に付けられ、さらに「曲がっている方が使いやすい」との提案を受け、現在の形に改良されました。
材料にもこだわっており、安来鋼(やすぎはがね)と地鉄(軟鉄)を使い、燃料には「使いやすい火になる」といわれる松炭を使用しました。地鉄と鋼の鍛接(たんせつ)(接合)には薬剤を使わず、山から採取した「不思議と傷や剥がれがなく良く接着する」といわれる黄色の粘土を使いました。柄には、柔らかいホウノキを使用しました。
こうして完成した谷口さんの削蹄鎌は、鳥取県の行商人により日本全国に販売され、北は北海道、南は鹿児島県や五島列島にも、愛用者がいたといわれています。
本市は、比婆牛発祥の地であるように、古くから牛と密接に関わってきました。過去には、和牛日本一を2大会連続で獲得するなど畜産が盛んですが、谷口さんの削蹄鎌は市内だけでなく、日本各地の畜産を土台から支えていたのです。

問合せ:口和郷土資料館
【電話】0824-87-2230

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