■土偶と石偶(4)
DOGU and STONE figurines
前回、三重県松阪市粥見井尻(かゆみいじり)遺跡で発見された土偶について紹介しましたが、「顔のない土偶」が縄文時代の最初の土偶であることがわかってきました。
それらの中には、滋賀県東近江市相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡出土の土偶のように、首の部分に穴があいているものがあります。こうした土偶と上黒岩岩陰などの石偶が同じ性質をもっているのではないか、という説が発表されています(瀬口真司2020「顔のない土偶の正体とその意味」)。
石(A)と土器(B)で素材は異なるのですが、持っている性格は引き継がれているというユニークな考えです。(遠部)
※初期土偶の組列(瀬口論文より)は本紙をご覧ください。
▽学芸員のつぶやき
土偶に関する議論は近年盛んで、昨年度だけでも50編近い論文などが発表されました。
問い合わせ:久万高原町教育委員会(上黒岩考古館)
【電話】21‒0139
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