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〔特集 Special Feature〕夏の笑顔をくれる裏方のヒーロー(1)

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愛媛県内子町

コロナが明けて本格的に開催できるようになった夏祭り。しかし、少子高齢化や担い手不足などの理由で、日本では中止や縮小をせざるを得ない地域が相次いでいるそうです。内子町も同じような課題を抱えていますが、町内各地で夏祭りが再開し、久しぶりに見られた笑顔がたくさんありました。
今回は「内子笹まつり」「小田燈籠まつり」「寺村山の神火祭り」「いかざき花火大会」の4つの夏祭りの裏側を追いかけました。祭りの裏側で汗を流す人たちの姿と思いを紹介します。

■内子笹まつり
▼「たくさんの笑顔が見たい――」みんなの心に届いた裏方の願い
今年で64回目を迎えた内子笹まつりには約1万5,000人が来場。久しぶりに内子本町通り商店街に並んだ笹飾りが、たくさんの人たちを喜ばせていました。その裏側を支えたのは、内子笹まつり実行委員会の皆さんや商店街の人たちです。笹まつりへの思いやこれからについて話を伺いました。

○先輩の背中を見て育んだ祭りへの思い、次の世代にも――
内子笹まつり実行委員長 宇都宮 啓之(ひろゆき)ひろゆきさん[内子2]

4年ぶりの本格的な笹まつりは多くの人でにぎわい、たくさんの笑顔があふれていました。大西くんや自分の息子など若い世代が参加してくれたことにも意義を感じ、再開できてよかったと思っています。
私が実行委員会に入ったのは24歳のとき。一番の若手でした。たくさんの先輩たちに囲まれ、作業などの後には飲みに連れていってもらい、かわいがってもらいました。息子たちの姿を見ると、懐かしい思い出がよみがえります。
当時の笹飾りの数は、今の倍以上はありました。各店舗が作った豪華な笹飾りが連なり、とても華やかでした。でも最近では店主の高齢化で、各店で準備することが難しくなっています。足りない分は実行委員会で準備しますが、今年は飾りは71体、竹は41本も用意しました。どちらも過去最多です。笹飾りの負担を減らすために、ランタンをつるす工夫などもしました。できる範囲の準備でしたが、お客さんからも好評でほっとしています。
やめる選択をしないのは、子どもの頃から父や大人たちの頑張る姿を見てきたからです。商店街がにぎわい、子どもが走り回る姿を見ると、このために頑張っているんだと分かります。この良さを次の世代につなげられたらうれしいです。

▼内子本町通り商店街の皆さんにインタビュー
○世代を超えたコミュニティーの場
山岡 あけみさん[内子2]

今年は自分たちで竹を立てることができず、実行委員会にお願いすると「力仕事は僕らがやるよ」と快く引き受けてくれました。商店街のみんなに助けられ、ありがたかったです。私もできることで協力しました。準備は大変だけど、休憩でお茶を飲みながら若い子たちと話す時間が楽しかったです。世代を超えてつながれるコミュニティーの場でもあり、大切にしたいです。

○僕も商店街のみんなと盛り上げたい
大西 優太朗(ゆうたろう)さん[内子4]

小さい頃から笹まつりの準備をする父の背中を見てきたので、自然と手伝うようになりました。商店街の皆さんとの作業は面白いし、僕も同じ裏方の仲間として迎えてくれるのがとてもうれしいです。大学を卒業したら、地域の外でいろいろな経験を積んで、いつか地元に戻ってくる予定です。同級生にも僕と同じ思いの子たちがいるので、そのときは実行委員の皆さんと一緒に祭りを盛り上げたいです。

■小田燈籠まつり
コロナ禍で開催が危ぶまれたものの、新しい形で再スタートを切った小田燈籠まつり。根っこの部分は大切にし、時代に合う方法を考えました。

▼小田地域みんなでつくりたい 持続可能な祭りのカタチ
小田燈籠まつり保存会会長 納堂 邦弘(くにひろ)さん[小田下]

祭りを続けるために、時代の変化に合わせて形を変える工夫が必要でした。小田燈籠まつりの組織が新しくなったのも、その一つです。以前は小田中央商店街が主催していた祭りですが、高齢化の影響もあり、コロナ前と同じ体制で祭りを続けることは大きな負担となっていました。
主催者側がしんどい祭りは続きません。現役世代が日中仕事を休んで準備をすることは難しいのが現状です。少し形が変わっても、祭りの根っこの部分を大切にして、「できる範囲で無理せず楽しむこと」へ。それが燈籠まつり保存会の最初の一歩でした。準備は強制でなく、「できる人でやろう」と呼びかけると、小田地区の皆さんはもちろん、地区外の人や小田分校生なども手伝ってくれました。
新しい燈籠まつりは昔のような派手さはありません。でも、燈籠流しで亡くなった人を弔うことや、里帰りの人たちも一緒に楽しむことなど、根っこの部分は残るよう心掛けました。多くの人が「やってくれてありがとう」と声をかけてくれて、大切なことが何かを改めて気付かされました。
地域の祭りを考えることは、地域の未来を考えることにつながります。同じ時間を共有し、一緒に汗をかく一体感は、他ではなかなか味わえません。この盛り上がりをまた来年も続けるために、小田地域の祭りとして協力者が広がればいいなと思います。

▼燈籠まつりに参加した皆さんにインタビュー
○納堂さんの思いに賛同
寺岡 和一(かずいち)さん[中田渡2]

納堂さんの思いに胸を打たれ、私も応援したいと会場設置の準備や片付け、交通整理をしました。これからもできることで協力したいし、喜んで手伝いたい。燈籠まつりが小田地域の活性につながればうれしいです。

○大好きな地元の祭り
宮内 もなさん 小田分校1年

大絵燈籠の制作に参加しました。小学生の頃に見た美しい大絵燈籠が心に残っていて、絵が描けるのも、大好きな地元の祭りの再開もうれしかったです。当日は地域の人たちが喜んで見てくれました。また来年も描きたいです。

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