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自治体の皆さまへ

[夏休み特別企画]日本一の紙のまちから新・素・材「セルロースナノファイバー」を知ろう(2)

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愛媛県四国中央市

■すごいぞ紙のまち!未来を拓く新素材 セルロースナノファイバー最前線
◇植物由来の高機能素材で暮らしを豊かに「大王製紙株式会社」
当社では、お客様の多様なニーズにお応えできるように、5つの形態のCNF「ELLEX(エレックス)」シリーズをラインナップしています。中でも昨年パイロットプラントが稼働した、CNF複合樹脂の開発に注力。減プラスチックやリサイクルに適する特徴を活かし、自動車部材や家電製品などへ用途を広げています。
また2017年には、CNFを配合することで破れにくくしたトイレクリーナーを当社で初めて実用化。2018年からは、CNFとパルプ繊維を複合化したCNF成形体のレースカーへの実装に挑戦し、2022年車両では60kgの軽量化を実現しました。2021年には、公道を走行する観光ツアーバスにも実装しています。そしてこの度、東北大学、東京大学、産業技術総合研究所と共同で、半導体材料の開発にもチャレンジすることになりました。
植物由来で紙パルプにはない優れた特徴を持つCNFが、日常生活の中で皆さまの手に渡り、より良い暮らしを実現できる素材として社会に普及することを目指し、技術開発、実用化に努めてまいります。

生産本部 新素材研究開発室
大川淳也(じゅんや)室長

◇新素材によるイノベーションの創出と未来像の提案を「丸住製紙株式会社」
当社では、透明性、粘性、保水性が非常に高いCNF「ステラファイン」を開発、販売しています。昨年には、ステラファインを配合することで「しっとり感」と「さらさら感」を両立した、肌に優しく天然素材にこだわったアルコールハンドジェルミストを製品化しました。
また同年11月には、北見工業大学との共同研究により、ステラファインに抗菌性があることを確認しました。CNFそのものに抗菌性があることを確認したのは、これが初となります。防腐剤を使わない天然素材を用いた製品にもCNFをお使いいただけるほか、CNF自体の保管が容易になります。
そして本年6月には、ステラファインを粉末化した新製品を開発しました。透明性などの特徴はそのままに、用途に合わせてCNFの濃度を調整できるほか、液状製品に比べて容量や重量が小さいため、輸送コストを抑えることができます。カーボンニュートラルやSDGsに貢献する新素材は、その運搬時においても、環境に優しい素材であるべきだと考えています。

イノベーション本部
堀江大介 本部長

◇愛媛で柑橘に最高のイノベーションを「愛媛製紙株式会社」
当社では、愛媛県や愛媛大学などと共同で、柑橘の皮から作ったペースト状のCNF「МaCSIE(マクシー)」を開発し、2021年から販売しています。CNFがもつ物理的特徴と柑橘が持つ有効成分をほぼそのまま残した「食べられるCNF」として、食品や化粧品に使われています。
МaCSIEの特徴の一つに、水と油のように混じり合わないものを均一に混合する「乳化」性能が高いことが挙げられます。食品や化粧品に使われている乳化剤を置き換えたり、乳化剤を使わない、より天然成分の多い製品の開発が可能になります。またМaCSIEには、紫外線に対する防御効果があり、これを活かした日焼け止めも販売されます。
そしてこの度当社では、酒造メーカーと共同で夏みかんのオイル成分を閉じ込めたCNFを開発。CNFを飲料品に活用した初の缶チューハイとして、6月から全国で発売しています。環境にも人にも優しい新素材は「柑橘王国愛媛」、「日本一の紙のまち四国中央市」の名を、世界中に広められる素材であると考えています。

技術部 技術課
西村慎祐(しんすけ)係長

◇紙産業の発展と人材育成に貢献し地域と共に輝く「愛媛大学 紙産業イノベーションセンター」
当センターでは「日本一の紙のまち四国中央市」を拠点として、製紙やCNFに関する教育・研究を行っています。CNFについては、2012年に県内でいち早く研究に着手。現在では、電子機器を使わずに検査が可能なCNFを使ったバイオチップの開発、抄紙技術を応用したCNFの連続脱水濃縮及びシート化技術の開発などに取り組んでいます。
2014年には、本県の特産品でもある柑橘果実の果皮からCNFを作りやすいことを、2019年には柑橘果皮CNFの乳化能が高いことを世界で初めて論文で報告。化粧品や食品といった用途を提案しました。その後、参画した産官学連携事業によって、愛媛製紙株式会社から柑橘果皮CNFが実用化され、それを用いた化粧品や飲料が製品化されています。
CNFには、まだまだたくさんの可能性があります。今後も地元企業の方々や市、県紙産業技術センターと連携をとりながら、産官学でCNFや製紙に関する教育・研究に努めてまいります。

紙産業イノベーションセンター
秀野晃大(あきひろ)講師

※発展を続ける「日本一の紙のまち」。本紙では、その技術と魅力を今後も紹介していきます

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