大洲市指定有形文化財(工芸品)
百万塔 添 経本
大洲高等学校所蔵
百万塔は、天平宝字8年(764)に起こった恵美押勝(えみのおしかつ)の乱の鎮圧後に称徳天皇の発願によって作られたもので、現存するのは法隆寺に安置された10万基のうちの4万数千基のみです。塔の内部には陀羅尼経(だらにきょう)が納められていますが、制作年がわかるものとしては世界最古の印刷物とされます。
明治40年(1907)、法隆寺は伽藍(がらん)などの修復のため、百万塔を希望者に譲与し寄附を募(つの)りましたが、歴史的に重要な資料であることから教育機関に優先的に譲与することとされました。如法寺所蔵の百万塔(大洲市指定文化財)は、篤志家(とくしか)が法隆寺から譲与を受けた後、如法寺に納められたものであるのに対し、大洲高校所蔵の本資料はこの趣旨に基づくもので、明治41年4月20日付けの証書によれば、20円の寄附で譲与されたものであることがわかります。
(平成4年10月27日指定)
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