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市長日記ーむーけーげー無罣礙ー

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新潟県南魚沼市

■ふるさとの味
ここにきて、まさかの新型コロナウイルス感染で公務は全部キャンセルとなってしまった大型連休。成人式など多くの行事に出席できず、誠に申し訳なく思っています。
療養期間中、つらかった症状が快方に向かうと、現金にも今度は時間を持て余すように。たまっていた新聞を読みだすと新潟日報一面のコラム「日報抄」に目が留まりました。魚沼の山菜「木の芽」の話。かの文豪開高(かいこう)健(たけし)も「上品な苦み」を至上の味と絶賛していた、と。自分が褒められているようなうれしさと同時にあることを思い出しました。
今年は行けませんでしたが、毎年4月29日~5月3日に山形県米沢市で開催される米沢上杉まつりに、来賓として歴史親善友好都市の代表数名が招かれます。南魚沼市は、米沢藩初代藩主の上杉景勝公と重臣直江兼続公の生誕の地。祝宴の席では上越市長や会津若松市長などと同席の栄に浴しますが、ある時、「この地に落ち着いたお殿様たちは、癒された面もあったでしょうねぇ」と言う私に「どんなところが?」と米沢市長。「いつも思うのですが、当市と季節感がまったく同じなんです。草花の芽吹き具合や山の色、高山の残雪。魚沼と寸分違わない。私が見間違うくらい」「この辺では木の芽は食べますか?」と続けると、居合わせた他の市長達は「何それ?」という顔をされたが、米沢市長だけが「あれはうまい」と間髪入れずに答えられた。この辺では米沢地域しか食べませんが、とも。関ヶ原の戦い後の米沢移封前の領地だった会津では食べないという。米沢に食文化が伝承されたのかなと酒間の話題になった次第。
話は変わりますが、この春、3年ぶりに当市出身のみなさんの首都圏会の総会も開催。久しぶりの面々にお会いできました。「市長に食べさせてやろうと思って取ってきたて」と4月の初めで、まだ南魚沼では摘めない木の芽を会場に。お一人は川崎、もう一人は千葉の人。「おらどこの木の芽はなじょだ?」と。気になる苦みの強さよりも、心遣いへの感謝と2人の故郷への思いに「うんめーない」。ふるさとを離れた人ほどその思いは強いものなのかもしれない。

南魚沼市長 林 茂男

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