近年、性別や国籍、障害の有無などを問わない多様な人材の活用が注目されています。多様な人材が入り交じり、それぞれの能力を発揮できる職場こそ、まさに働きがいのある職場─市内事業者や市の取り組みを紹介します。
◆障害者
現在、民間企業の障害者の法定雇用率は2.3%と定められており、令和6年に2.5%、令和8年には2.7%と段階的な引き上げが発表されています。多くの企業では障害者の雇用に当たり、個々の特性を理解し「できること」を切り出します。これが業務フローの見直しのきっかけになることも。障害者が働きやすい安全な職場は、多くの人が働きやすい職場です。
『一通りの業務を担う戦力に実習からスムーズな受け入れ』
社会福祉法人 信濃川令終会 高齢者福祉施設 せったやの郷
施設長 三本 剛さん
人材不足を補いたいと考え、高等総合支援学校の職場実習の受け入れを始めました。実習生たちの印象は、何事も丁寧に取り組み、とても真面目。現在働く2人も実習を経験し、自分に合う仕事だと感じてくれて就職につながりました。今では一通りの業務を担う戦力として活躍しています。
障害者の雇用に漠然と不安を抱える企業の方は多いと思いますが、実際に彼らに会ってみるとイメージががらりと変わるはず。実習の受け入れはそのきっかけになると思います。得意なことや苦手なこと、人となりを知っていくことで、スムーズな受け入れにつながります。
「デイサービスセンターせったや」では現在、障害者枠で2人を雇用しています。入職5年目の佐藤さん、3年目の山﨑さんは、共に高等総合支援学校の卒業生。介護補助として就職し、パート職員を経て今年の8月から常勤介護職員として働いています。
・飽きっぽい性格ですが、できることが増えていくので仕事はプラスに感じることばかり。昨年は法人の支援制度を使い、介護福祉士の資格も取得できました。
・人と話すことが苦手でしたが、職員の方の手助けもあり、利用者さんと話すことが好きになりました。
市は、障害者就業・生活支援センターやハローワーク、高等総合支援学校などの支援機関と連携し、障害者の就労機会の拡大を図っています。
▽企業と支援機関の橋渡し役 障害者就労支援推進員
支援機関と連携し、障害者雇用の促進や企業相談を行います。
≪ともにすすむ!もにす認定制度≫
県内初!入札時の加点対象に
障害者雇用の促進や安定に向け、優れた取り組みを行う中小企業を国が認める「もにす認定制度」。今年度から受け付ける市の建設工事の入札参加申請で、認定企業が加点対象になりました。
◆グローバル化、DXを後押し!外国人材
専門的な知識を持つ外国人材の活用は、事業の海外展開やDX※を後押しします。多様な価値観を持つ人々が一緒に働くことで新たな発想が生まれ、企業文化や事業領域の発展につながる可能性も。
市は、令和元年に長岡グローバル人材活躍推進協議会を設立。市内企業や商工団体と連携しながら、モンゴル高専生やベトナムの大学生をはじめとする留学生に、市内企業での就業体験や企業見学などの機会を提供しています。
今年10月には、介護・IT・観光分野の専門人材受け入れを進めるため、磯田市長をはじめとする官民視察団がキルギス共和国を訪問しました。
外国人留学生向けに行った企業見学バスツアー。32人が参加し、市内企業や長岡で働く魅力を知るきっかけになりました(11月15日)
※DX(デジタル・トランスフォーメーション)
デジタル技術を取り入れ、製品やサービスをより良く変化させること
◆外部の視点を取り入れて課題解決へ 副業・兼業人材
近年、副業・兼業を認める大企業が増えています。他の企業や仕事の専門的なスキルや経験、外部の視点を自社の業務に取り入れることで、企業の課題解決を目指す流れは、中小企業へも広がっています。
▽副業・兼業人材とのマッチング #複活
市では「地域の人事部」事業の一環で、副業・兼業人材の活用を「#複活(複業活動)」として推進。現在、市内6社が参加し、マッチングに向けて経営課題の整理や人材交流を行っています。
NTT東日本新潟支店の人材を市内企業に派遣する長岡独自のプロジェクトもスタート。大企業が持つDXのノウハウを地元企業に取り入れることが期待されています。
[地域の人事部]
問い合わせは長岡事務局・(株)ひとつぶcontact@hitotsubu.co.jpへ
関東経済産業局が自治体や関係団体と連携して進める、地域の中小企業や小規模事業者の多様な人材活用を推進するプロジェクト。長岡市は令和4年度から、モデル地域の一つに選定されています。市内の金融機関や商工会議所などと連携し、人材に関わるさまざまな事業を展開しています。
・経営者や人事担当者向けの人的資本経営セミナー
・インターンシップ支援などで新卒採用を強化 など
『人材を活かして課題解決 新たな挑戦へ』
地域の人事部長岡事務局/(株)ひとつぶ 取締役 野中 大輔さん
人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出そうとする「人的資本経営」という考え方が広がっています。企業は社員の想いを受け止め、改善する姿勢を見せる大切さを意識することが重要です。
今年からスタートした「#複活」は、長岡では初めての副業・兼業人材の実証事業です。優秀な人材が持つノウハウや経験を外部から取り入れることができるため、社員の育成や新規事業の構築など、これまで社内だけでは取り組めなかったことに挑戦しやすくなると思います。セミナーをはじめとするさまざまな事業で、企業のみなさんの人材戦略をサポートしていきます。
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