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自治体の皆さまへ

「ゆるやかな関心。そして見守りを」誰もが受け入れられる社会に

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東京都多摩市

■保護司・更女へのインタビュー
日野・多摩・稲城地区保護司会や同地区更生保護女性会(以下、「更女」)に所属する、保護司・更女の遠藤明子さんに、再犯防止の考え方や実際に支援した方からいただいた声をお聞きしました。

◇遠藤さんが保護司・更女になろうと思ったきっかけは何ですか?
地元の青少年問題協議会で、先輩の保護司から前職での経験を見て声をかけていただきました。困難を抱える人に寄り添えるチャンスをいただいたので「やってみようかな」と思いました。

◇保護司・更女の両輪での活動で、それぞれの特徴や違いなどは何ですか?
「犯罪をした人の立ち直りを支えたい」という思いは共通しています。保護司は対象者に直接会って面談をしますが、更女は対象者個人の情報を抱えることはないので、地域の人全体を支えたいという思いで活動しています。

◇「社会を明るくする運動」は代表的な活動ですが、その活動によって市民の方々には何を感じ、考えてもらいたいと思いますか?
普通に暮らしていると、犯罪の背景まで考えることは難しいと思います。多くの犯罪をした人は、再び地域でやり直し、立ち直りたいと思っています。犯罪は許されることではないけれど、「犯罪者」というレッテルのために、それが「生きづらさ」につながっている人もいるんじゃないかな…。だからまずは受け入れる、隣人として存在を認めるという意識が根付くといいなと思います。

◇活動の中で地域の反応や意見で困ったことはありましたか?
対象者から話を聞くと、やっぱり周りの目が気になるそうです。「バレたらどうしよう」と不安や未来への恐怖を抱える人もいます。私は、保護司・更女の活動で「誰もが受け入れられる地域をつくること」ができたらいいなと思っています。過去に向き合って反省することは必要だし大切。保護司は、対象者が保護観察を終えたら関わることはありませんが、不安や孤独を感じた時に、話を聞いてもらうための居場所やサポートがあればいいなと思います。

◇生きづらさを抱える人とその立ち直り支援についてどう考えますか?
地域で支えられる体制づくりが必要だと思います。保護観察が必要な人にはまず保護司である私たちが寄り添いますが、保護観察を終えれば関わることはできません。その先は、働く場を提供する「協力雇用主」や、相談に乗ってあげられる「民生委員・児童委員」などの関係機関が連携する必要があると感じています。

◇そのために地域の方や地域で取り組んでほしいことなどはありますか?
「隣の人にゆるやかな関心を持ちましょう」ということです。声をかけることは難しくても、見守ることはできますよね。関心は持つけど、干渉はしない。案外、関心を持って気にかけてもらっていることを必要としている人もいますから。

◇今後の目標はありますか?
漠然としていますが、「過去がどうあろうと受け入れられる社会をつくること」です。犯罪をした人でなくても、「弱み」をさらけ出せる世の中にしたい。「困っている」「助けて」と声をあげるハードルが低い世の中にして、そしてそれを助けられる人がどこにでもいればいいなと思います。時代の移り変わりで助ける側にとっても大変な世の中で、困難の多様さ、複雑さはさまざま…。だからこそ、みんながチームで取り組むことができればいいですよね。

◇最後に、保護司・更女に一番大切なことは何ですか?
私自身もまだまだ難しいですけど、「目の前の人をそのまま受け入れること」だと思います。つい自分の基準に当てはめて物事を捉えがちです。自分の基準とは異なる人がいたとして、異なることによって生きづらさを抱えているんだとしたら…。受け入れて、どうしたら生きづらさを無くせるのかを一緒に考えればいいと思います。ある意味「異文化交流」だと思っています。「自分の当たり前は他人の当たり前ではない」と意識をもつことって難しいですけど、頑張りたいなって思います!

▽多摩市の更女が法務省の動画に登場!
再犯防止に取り組む活動を分かりやすく解説した、法務省公式YouTube「MOJ channel」に多摩市の更女が出演しました!

■7月は再犯防止啓発月間
犯罪や非行の背景には、望まない孤独や社会的孤立など、社会におけるさまざまな生きづらさが存在していることが少なくありません。「安全に、安心して暮らしていきたい」という誰もが抱く願いは、この生きづらさに寄り添い、人と人とが支え合うコミュニティを通じて実現されます。犯罪や非行の防止と立ち直り支援は、国や地方自治体が一体となって推進していくとともに、民間団体・地域の多くの方々のご理解とご協力をいただきながら、社会全体で取り組むことが大切です。

◇犯罪お悩みなんでも相談
「すぐに暴力をふるってしまう」「何度も万引きをしてしまう」といったお悩みのある方は、ぜひ一度ご連絡ください。
対象:都内在住の、万引きや暴力・痴漢などの犯罪行為をしてしまうご本人、そのご家族、関係者の方
内容:あらゆる犯罪に関する相談
電話番号:【電話】03-6907-0511〔火・木・土曜日午前9時~午後5時(祝日・年末年始を除く)〕

問い合わせ:東京都都民安全課
【電話】03-5388-2265

■7月は社会を明るくする運動
▽~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~強調月間
すべての国民が、犯罪や非行の防止と立ち直りについて理解を深め、それぞれの立場で力を合わせ、明るい地域社会を築くための全国的な運動です。地域の保護司などが犯罪や非行の防止、罪を犯した人の立ち直りを支えていく事を呼びかける啓発活動を行います。

▽多摩市の保護司
保護司は子どもの非行などでお悩みの方の相談を受け付けています。
※詳しくは本紙をご参照ください。

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問い合わせ:
更生保護サポートセンター高幡台【電話】042-593-0950
市役所福祉総務課【電話】338-6889

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