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「市長コラム」多摩の風 第122回

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東京都多摩市

◆多摩市のモダニズム建築
モダニズム建築と言えばル・コルビュジェが有名ですが、この1920・30年代に一世を風靡した建築物が多摩市に現存しています。都立桜ヶ丘公園内にあるクリーム色に輝く円形ドーム型の「旧多摩聖蹟記念館」です。
子どもの頃、当時あった農林省の鳥獣実験場から逃げ出したクジャクが大きな羽を広げ、闊歩していたことを覚えています。この記念館は多摩市の指定有形文化財であり、東京都の「特に景観上重要な歴史的建造物等」にも選定されています。
もともとは、明治天皇が兎狩や和歌を詠みに連光寺に行幸していたことを記念し、宮内大臣を務めた田中光顕らが1930(昭和5)年に建てたものです。
この記念館はDOCOMOMO Japanの「日本におけるモダンムーブメントの建築」として2021年に選定されるなど近年も注目を集めています。
建物を設計した建築家の蔵田周忠は、1966(昭和41)年に71歳で亡くなりましたが、その生涯に焦点をあてた展覧会が5月26日まで記念館で開催されています。
展示を見て驚きました。蔵田は、第一次世界大戦後のワイマール憲法下のドイツで「ジードルンク」と呼ばれる集合住宅を視察。椅子式の暮らしや実用的な家具といったモダンな住まい方を日本に導入した人でした。
その後、多摩丘陵を造成し、多摩ニュータウンの誕生へ。蔵田が想い描いた「ジードルンク」の暮らしが実現したのかどうか。静かにたたずむ記念館で耳をすませてみませんか。

(多摩市長 阿部裕行)

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