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自治体の皆さまへ

更生保護に協力し、犯罪や非行のない街を目指す。(1)

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東京都渋谷区

更生し、社会復帰を果たす姿を見ることが一番の喜び。

■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
犯罪をした人や非行のある少年たちの出所後の生活に寄り添い、更生を支える保護司の皆さんに、活動の中で心掛けていることや「社会を明るくする運動」について伺いました。

・渋谷区保護司会会長 福田勉(ふくだつとむ)さん
「更生することを心から願い、諦めずに接しています。」
・渋谷区保護司会前会長 伊藤一三(いとういちぞう)さん
「時には食事を共にして、一人一人と向き合っています。」
・渋谷区保護司会原宿分区長 林由利子(はやしゆりこ)さん
「祖父と父の後を継いで保護司になりました。やりがいを感じています。」
・保護司・「社会を明るくする運動」 庶務 岡﨑千治(おかざきちはる)さん
「更生し、働いている姿を見た時、本当に良かったなと思いました。」

[保護司とは]
保護司は、犯罪をした人や非行のある少年(以下、対象者)の更生を地域で支えるボランティアです。法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員として、給与は支給されませんが、活動にかかる実費(交通費など)は支給されます。渋谷区保護司会では渋谷・原宿・代々木の3つの分区で活動を行なっています。

◆犯罪や非行のない社会を目指す保護司たち
◇皆さんの自己紹介と、保護司となった経緯について教えてください。
福田:渋谷区保護司会の会長を務めています。保護司となったきっかけは、長年保護司をしていた私の上司から、「君もやってみないか」と声を掛けられたことでした。保護司の仕事のイロハも分からないまま始めましたが、大変やりがいのある活動で、社会のためにしっかりやらなければいけないと、常に気持ちを引き締めています。

伊藤:福田さんの前に会長を務めていました。20年ほど前、保護司の2人の先輩から「君は保護司に向いているから、ぜひ、やりなさい」と勧められたことがきっかけで、活動を始めました。どうやら、気が長くて怒らずに相手の話に耳を傾ける性格が、保護司に向いていると思われたようです。

林:渋谷区保護司会の原宿分区長をしています。祖父と父が長年保護司をしていて、9年前に父が退任した時に「引き継いでみないか」と言われ、岡﨑さんをお誘いして一緒に保護司になりました。実際に活動してみると勉強になることが多く、やりがいを感じています。

岡﨑:主に、保護司の地域活動である「社会を明るくする運動」の運営を担当しています。9年前、当時PTA役員だった林さんから「一緒に保護司になりませんか」とお誘いを受けたことがきっかけで、保護司になりました。以前から、保護司をしている知り合いから活動内容を聞き、興味があったので、お引き受けしました。

◇保護司の普段の活動について教えてください。
伊藤:保護司は地域のボランティアとして、対象者に向けて、更生を図るための約束事を守るように指導し、生活や就労などを支援する活動を行なっています。

林:保護司の活動には、大きく分けて処遇活動と地域活動の二つがあります。処遇活動は、対象者と月1〜2回の面談をしたり、生活の支援をしたりします。面談では経済的なことから家族関係のことまで、さまざまなご相談に乗るのですが、対象者の苦しみを理解しようとしながらお話をしています。地域活動は、広報活動として犯罪や非行をなくしていくための「社会を明るくする運動」を行なっています。

◇「社会を明るくする運動」とはどのような活動なのでしょうか。
岡﨑:対象者の更生に対する理解を深めることと、犯罪や非行のない環境をつくることを目指した運動です。毎年7月が強調月間で、中学生による意見発表のほか、鼓笛隊のパレード、音楽会などのイベントを開催しています。

◆対象者の更生と社会復帰が一番の喜び
◇保護司として活動する際に心掛けていることはありますか。
福田:対象者と面談する時は「保護司だからこうしなければ」ではなく、普段と変わらず、自然体で接するようにしています。それから、諦めないことですね。残念ながら再犯率は約49%※1と高く、2人に1人は再び刑務所や少年院に入ってしまいます。自分の無力さを感じることもありますが、更生してほしいと心から思いながら接しています。
※1 出典:法務省「令和4年版再犯防止推進白書」

林:保護司という特別な存在ではなく、「地域に住む人」という立場で対象者と関われたらいいなと思っています。上から押し付けたり、自分が指導してあげなければという気持ちでいるのではなく、地域の一員として対象者を気遣ったり心配したりすることで、相手も安心できるのかなと思います。

◇更生保護活動をする上で、苦悩や難しさを感じることはありますか。
伊藤:家族の協力や理解が必要だということです。あるケースでは、一人暮らしでいつも冷たい物ばかり食べている対象者がいて、わが家で半年ほど、温かい夕飯を用意したことがありました。食事を共にする時間を通して、だんだんなじんでくれたように思います。それから、福田さんもおっしゃったように、再犯率の高さは私も深刻に感じています。対象者には刑務所や少年院を出た後、住居や就職などさまざまな問題が立ちはだかりますので、福祉と司法の両面で支えなければいけないと感じています。

林:私は、普段は仕事をしていますので、時間のやりくりという意味で、保護司の活動との両立の難しさを感じています。個人で関われることには限界がありますので、何か問題が起こった時は、その都度、保護観察官※2や保護司の先輩方に確認してから行動するようにしています。
※2 犯罪をした人や非行のある少年に対して、通常の社会生活を送らせながら、その円滑な社会復帰のために指導・監督を行う「社会内処遇」の専門家(法務省ウェブサイトより)。

◇保護司としてのやりがいを感じた場面がありましたら、教えてください。
福田:やはり、対象者が更生したと分かった時です。対象者から「ありがとう」と言われた時や、ご家族からお礼を言われた時もうれしいですね。きっと、ほかの保護司の皆さんも同じ気持ちだと思います。

岡﨑:以前、対象者が更生して働いている場面に出くわしたことがありました。「出所してから、仕事をずっと続けています」と声を掛けてくれて、本当に良かったなと思いました。それから、保護司の先輩方とお会いできることもやりがいの一つです。いつも貴重なご意見をいただき、とても勉強になっています。

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