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自治体の皆さまへ

渋谷から世界に羽ばたくスタートアップを育む。(1)

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東京都渋谷区

―日本の課題に注目したスタートアップ創業者を支援。―

■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
渋谷区で国際的なスタートアップ企業を支援することを目指す、シブヤスタートアップス株式会社の渡部志保さんに、会社の取り組みや展望について伺いました。

・シブヤスタートアップス株式会社 代表取締役社長 渡部志保(わたべしほ)さん
「渋谷や日本の魅力を生かし、これまでにないビジネスの創造をサポートしたいです。」
渋谷区出身。シブヤスタートアップス株式会社代表取締役社長。アメリカ・スタンフォード大学院を卒業後、外資系大手証券会社に就職。平成20年、グローバルITテクノロジーの会社に入社し、日本のほかアジア太平洋地域、ヨーロッパ、アフリカでマーケティング業務を担当、平成26年にはアメリカにある同社本社に勤務。その後、スタートアップ企業のマーケティング責任者などを経て、令和3年に副業人材として渋谷区スタートアップ・エコシステムアドバイザーに就任。令和5年2月から現職。

◆スタートアップ創業者に伴走し、新たなビジネスを支援する
◇渡部さんが令和5年2月にシブヤスタートアップス株式会社(以下、シブヤスタートアップス)の代表取締役社長に就任された経緯を教えてください。
渡部:令和2年の初めにアメリカで新型コロナウイルスの感染が拡大し、同年の夏に日本に一時帰国しました。その時、「渋谷区から、世界に羽ばたくスタートアップ※1をともにつくる」という企画で、区が副業人材を募集していたんです。これまで投資銀行、IT企業やスタートアップ企業に勤務し、企業が大きく成長していく過程を間近で見てきた経験を生かせるかもしれないと思い、応募しました。その後、長谷部区長から「渋谷区をスタートアップ企業の中心地にしたい」というお話を伺い、シブヤスタートアップス設立の準備委員会からお声掛けいただいた際にお受けしました。

※1 起業や新規事業の立ち上げを意味する言葉。特に革新的なアイデアで短期的に成長する企業を指す。

◇シブヤスタートアップスとは、どのような会社なのでしょうか?
渡部:官民で連携して国際的なスタートアップ企業を支援することを目的とした会社です。海外の起業家を日本に招いて渋谷区での事業を支援するほか、国内外のパートナー企業に対してコンサルティング事業を手掛けることが主な業務になります。

◇具体的にどのような支援をしているのでしょうか?
渡部:創業者はさまざまな国から日本に進出しており、企業の成長段階も異なるため、各企業と適切なプログラムを組んで伴走するような形で進めています。たとえば、日本にスタッフも知り合いもいない状況で応募した創業者へは、日本にはどのようなビジネスに役立つ資源があり、どのようなパートナーを探すべきかなどを具体的にアドバイスするところから始めます。また、現在支援している企業18社のうち16社の創業者は海外にいるので、日本にいる当社メンバーが代わって案件や商談を進めることもあります。

◆起業家と相性がいい渋谷区の文化
◇支援するスタートアップ企業は、どのように選んでいるのでしょうか?
渡部:海外の起業家からの応募が圧倒的に多いです。その中でも、高齢化や防災といった日本社会が抱える課題を解決したいと考えている創業者、アニメや漫画などの好きなキャラクターを応援する、日本の「推し文化」や、熱狂的なファンたちが引き起こす経済活動に注目している創業者を選ぶようにしています。

◇具体的な事例を教えてください。
渡部:高齢者の健康的な歩行を支援する高性能歩行器を開発した、アメリカのスタートアップ企業があります。その歩行器は、A(I人工知能)による健康管理や電動歩行補助、自動ブレーキを備えており、高齢者の日々の運動を維持・応援します。この企業の創業者は、パーキンソン病を患った父親の介護経験から、高齢者の健康的な生活をサポートしたいと考えたそうです。高齢者の快適な歩行をサポートすることにより、都市部で暮らす高齢者の健康増進につながると考え、採択しました。ほかには、認知症患者に向けたサービスを提供するスタートアップ企業が数社あります。日本国内には認知症患者が600万人以上いると言われていますが、そのうちの多くは自宅での介護となり、患者自身のみならず、家族にもどうしても大きな負担がかかってしまいます。そこで、介護のサポートや見守りなどのシステムを開発している企業の支援をしています。このような企業のほかにも、認知症介護者向けのコミュニティーや、支援のための生成AI※2を用いたチャットボット※3を提供するスタートアップ企業もあります。

※2 コンピューターが学習したデータをもとに、新しいアイデアや情報を創出することができるAIのこと。
※3 チャット(会話)とロボットを組み合わせた言葉で、利用者からの質問に自動で返答してくれるAIを活用した自動会話プログラムのこと。

◇渋谷区の特徴を生かした事例もあると伺いました。
渡部:渋谷ならではの文化に注目したスタートアップ企業があります。渋谷や原宿の街中を歩くと、建物や壁などにさまざまな落書きが描かれているのを見かけます。落書きは犯罪であり、それらを消すために多くの税金が使われているのですが、そうしたストリートアートの芸術性に注目した創業者がいました。ストリートアートを単なる落書きで終わらせないために、世界中からアーティストを招き、決められた場所に絵を描いてもらうことで作品として価値を生み出す試みを始めたのです。「デジタルオークションハウス」という仕組みをつくり、最先端のテクノロジーを用いてストリートアートをデジタル化して流通させることで、アーティストの活動資金を集められるようにしました。

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