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自治体の皆さまへ

渋谷から世界に羽ばたくスタートアップを育む。(2)

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東京都渋谷区

◇海外の創業者たちは、日本のどのようなところに魅力を感じているのでしょうか?
渡部:日本が好きだという創業者もいますが、私たちのプログラムに応募してきてくれる創業者の多くは、日本にビジネスチャンスがあることを意識していると思います。たとえば、データ保護規制に関しては、日本は欧米よりも緩和されていたり、円安の影響で、ものづくりがしやすかったりすることが魅力となっています。また、日本には高齢化という課題がありますが、だからこそ課題解決のチャンスがあると考えているAI関連のスタートアップ企業も多いです。それから、日本の商品やデザインにおけるユニークな着眼点の面白さや、「推し文化」による経済効果なども魅力のようですね。

◇渡部さんは渋谷の街にどのような印象を持っていますか?
渡部:私は幼少期を渋谷区で過ごし、その後いろいろな場所に引っ越しをしましたが、やはり故郷は渋谷区だと思っています。渋谷は時とともに廃れない魅力がある街です。幼少期に見たホコ天(歩行者天国)、竹の子族※4や90年代の青文字系ファッション※5など、いつの時代も周りと違ったものや見慣れないものを受け入れ、応援するような文化があると感じます。そのような街の特徴は、起業文化ととても相性がいいと思うんです。信念を持って新しいことに挑戦をする人たちが集まり、その結果、まだ誰も見たことがないようなものが生まれていく。そんな渋谷の柔軟な創造力を、この取り組みを通じて世界にどんどん発信していきたいですね。

※4 80年代に原宿にあった歩行者天国で、派手な衣装を着て、ラジカセで流す音楽に合わせて踊った若者たちのこと。
※5 雑誌のタイトルカラーから名付けられた個性的なファッションのこと。同じく雑誌タイトルから「赤文字系」のファッションがあり、それと区別するために生まれた。

◇かつて「ビットバレー※6」と呼ばれていた渋谷を、どのような街にしていきたいと思いますか?
渡部:ビットバレーも、渋谷の街の魅力や世界観が起業文化と相性がいいからこそ、生まれたものだと私は思います。当時の起業家の先輩たちが築かれてきた延長線上に、次の土壌や文化をつくっていく。それを、さらに次の世代にバトンタッチしていけるといいなと思っています。世界の都市と比べても渋谷は独特な街だと感じるので、渋谷の未来を私自身見てみたいですし、とても楽しみです。

※6 平成初期に、インターネット・ITの新興企業が集積していた渋谷区とその周辺地域を指す呼び名。

◆みんなが働きたいと思うような会社をつくっていきたい
◇設立から1年弱がたちましたが、振り返ってみていかがですか?
渡部:私がアメリカから帰国して、本格的にシブヤスタートアップスに取り組み始めたのは令和5年の4月でした。最初に11社のスタートアップ企業を採択し、今では18社に増えました。しかし、必ずしも万人受けするアイデアに取り組んでいるわけではありません。全員が賛同することは、すでに誰かが取り組んでいる可能性が高いからです。誰かが異議を唱えるような周りとは違った発想、前例がないチャレンジを渋谷という街で後押しするからこそ、この取り組みに意味があるのではないかと思います。

◇今後のシブヤスタートアップスの展望について教えてください。
渡部:どのようなビジネスを生み出す可能性があるのかという観点から、日本の強みやユニークさをもっと掘り下げ、世界中から来てくれるスタートアップ企業が渋谷区で新たな着想を得て、世界でより活躍してくれたらと思います。その中で、引き続きスタートアップ企業の支援とサポート体制の強化を行なっていきたいと思います。それから、最も大切なのは、皆さまがスタートアップ業界で働きたいと思えるようなカルチャーづくりに貢献することです。挑戦を応援し、成果を出すことによって、ここで働きたいと思っていただけるような会社にしていきたいと強く思っています。

◇最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
渡部:しぶや区ニュースは、渋谷区を支え続けてきた人たちや、区長をはじめとする区民の皆さんの存在をより身近に感じられるメディアだと思います。私も毎回しぶや区ニュースを拝読していて、今回はお招きいただきとても光栄でした。これからも渋谷区をよりよい街にしていくためにできることをやっていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

≪「渋谷のラジオ」で放送中!≫
渡部さんへのインタビューは1月23・30日に「渋谷の星」で放送します。

■グローバルスタートアップ育成機関「シブヤスタートアップス株式会社」を設立
渋谷区は令和5年2月、民間企業3社とともに渋谷に国際的なスタートアップ・コミュニティーを誕生させ、育むことを目指す「シブヤスタートアップス株式会社」の設立を発表。高齢化、アニメやゲーム、ストリートファッション・カルチャー、食文化、防災などの課題に取り組む国内外のスタートアップ企業を対象として、コミュニティー・メンバーを募集。同年8月にはスタートアップ企業11社を採択し、現在コミュニティー・メンバーが18社まで拡大している(令和6年1月15日時点)。

問合せ:広報コミュニケーション課広報係
【電話】03-3463-1287【FAX】03-5458-4920

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