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絵手紙のひと 小池邦夫のうちあけ話(24)

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東京都狛江市

◆これからだ! 狛江から世界へ 夢広げる
《狛江市の団地の仕事場には、1990年ごろから30年余り通った》
実はね、この前に調布市国領町に部屋を借りていた。俳優でタレントの高田純次さんの実家の2階だったんだよ。高田さんとは、テレビ朝日の番組「じゅん散歩」(2016年10月放送)で初めてお会いしました。僕と手紙のやりとりをしていたことなどを披露して話が弾んだね。
団地の仕事場は、山積みになった棟方志功や中川一政、熊谷守一などの画集に占領されて、足の踏み場もないほどだったな。大きな硯(すずり)や彩墨、筆が散らばり、机の周りには俑ようが転がっていた。雑然としていたね。
俑を触ったり画集を見たりしているうちに、心が躍ってくる。内側から書きたい線や色がわき上がってくるんだ。がんの闘病中も、仕事場に行ける幸せを感じた。23年の2月を最後に通えなくなったけど、自宅で体調がいい日には筆を持ったよ。

《23年3月、狛江エコルマホールで「狛江で育った絵手紙」をテーマに小池さんの講演会が開かれた》
妻・恭子のサポートで、車いすで登壇した。会場を見渡したら600人近い絵手紙愛好者が席を埋めている。久しぶりに胸が高鳴ったね。
講演では、調布市武者小路実篤記念館・首席学芸員の伊藤陽子さんと、僕が最も影響を受けた実篤さんの書画の魅力について対談した。
この日は、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表「侍ジャパン」が世界一奪還を果たした直後。僕は最後に叫びました。「こんなちっぽけな絵手紙でも、ずっと積み上げて重なってくると、世界一だって夢じゃない」。「狛江から世界へ」と。

《講演会後の交流会に小池さんが再び登場。拍手や声援の渦に、恭子さんは「81歳のアイドルです」。》
僕の通信講座を受けて公認講師になった人たちが、全国から大勢来て手を振ってくれた。感激したね。
僕は、尊敬する実篤さんや熊谷さん、中川さんたちが90代まで長生きして、最晩年にとてもいい仕事をしていることを励みにしてきた。
客席から「まだまだ、これからだ!」の激励の声が飛び、僕は腕を振り上げてこたえました。
「本当に、これから!」

◆今回で僕の話はおしまいです。次回は番外編で、僕の話をまとめてくれた佐藤さんの編集後記です。
(聞き手 元新聞記者・佐藤清孝)

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