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自治医科大学附属病院 連携協働コラム(1)

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栃木県下野市

【Jichi Medical University Hospital】

■夏の栄養~健康的なライフスタイルのためのヒントとコツ~
自治医科大学附属病院 管理栄養士 川畑奈緒

▼はじめに
夏は、太陽の光とおいしい食べ物に恵まれ、屋外で活動するのにふさわしい季節です。しかし一方で、5年先、10年先といった将来を見据えた場合、私たちの健康を損なう可能性のある不健康な食生活に陥りやすい時期でもあります。夏の季節を大いに楽しむためには、健康的な食生活を維持することが重要です。今回は、夏を健康的に過ごすために必要な栄養素と、健康的で爽やかなおいしいレシピを紹介します。

1.夏の栄養と健康
適切な栄養補給は、一年を通して、私たちの健康に欠かせませんが、夏季は特に重要です。夏の高温・多湿な環境下で、健康かつ活動的な生活を維持するためには、十分な水分と栄養素を摂取する必要があります。栄養素は、エネルギー産生栄養素と微量栄養素に分かれます。エネルギー産生栄養素には、炭水化物、タンパク質、脂質の3つがあります。これらは、生命活動に欠かせない多くの機能を支えるため、毎日、バランス良く摂取する必要があります。微量栄養素は、ビタミンやミネラルのことをいい、必要量はエネルギー産生栄養素に比べると少ないですが、体のさまざまな働きに欠かせません。WHO(世界保健機構)によれば、微量栄養素の不足は貧血(鉄不足)やくる病(ビタミンD不足)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(ビタミンD不足)などの栄養障害の原因となります(1)。
さらに、夏はアイスクリームや清涼飲料水などの脂質や糖質の多い食べ物や飲み物を摂りすぎることがあるため、体重の増加を招き、健康問題を引き起こす可能性があります。夏に健康的な生活を送るには、図1のような野菜や果物、全粒穀物、豆類、魚、脂の少ない肉、良質な油など、栄養価の高い食品に注目することが重要です(2)。これらの食品は、健康に良いとされる地中海食、北欧食、日本食において、少なくとも2つの食事法で推奨されています。また、どの食事法でも、さまざまな野菜を食べることが基本になっています。これらは、私たちの体に必要なエネルギーやビタミン、ミネラル、抗酸化物質(※1)を豊富に含んでおり、消化や代謝の正常な働きを促進し、免疫機能を高めます。

○図1.栄養価の高い食品

良好な食生活を維持するためには、食事だけでなく、十分な水分補給をすることも重要です。夏はいつも以上に汗をかくので、水分摂取量を増やすことで脱水症状を防ぐことができます(3)。1日の推奨される水分摂取量は1.5~2Lといわれていますが、ライフスタイルに合わせて量を調整しましょう。甘い飲み物やアルコール飲料は、体を脱水状態にして熱中症を引き起こしたり、糖質やエネルギーの過剰摂取につながり体重増加の原因になったりするため、控えましょう。

※1 抗酸化物質とは、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える物質のことです。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。抗酸化物質には、体内で合成される体内合成抗酸化物質のほかに、ポリフェノールとカロテノイドがあります。ポリフェノールには、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンやサポニン、ゴマの成分が変化してできるセサミノール、そばに含まれるルチン、緑茶のカテキンなどがあり、カロテノイドは、緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβ-カロテンやリコピン、えびやかになど甲殻類や、さけ・ますなど魚類がもつアスタキサンチンなどが知られています(4)。

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