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特集 居場所(3)

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栃木県那須塩原市

■隈(くま)氏と考える新しい居場所。
令和9年度中の開庁を目指し、基本設計がスタートした新庁舎建設事業。昨年12月16日、設計事業者である建築家・隈研吾(くまけんご)氏と一緒に、新庁舎に必要な空間や機能を考える市民ワークショップを東那須野公民館で開催しました。ここでは、参加者が考えた庁舎機能のユニークなアイデアを紹介します。
「2時間半という短い時間で、皆さんには想像以上に深く考えていただき、同時に皆さんが新庁舎に寄せる期待の高さを感じました」。これは、ワークショップ終了後の講評で隈氏が開口一番に語った一言です。
東那須野公民館を会場に行われたこの催しには、中学生から高齢者まで老若男女、さまざまな立場の市民51人が参加しました。
冒頭、新庁舎建設に関する経過や市の方針に関する事務局説明の後、隈氏より「新庁舎のコンセプト」に関するプレゼンテーションに耳を傾ける参加者。隈氏は、市民の居場所、憩いの場となるよう思いを込めた「市民公園」という大きなコンセプトを元に、新庁舎で構想する機能の一部やデザインに関して、イメージ図を用いて紹介しました。
参加者は5~6人のグループに分かれ、「みんなが集まりたくなる未来の市役所を考えてみよう」をテーマに市民ゾーンの使い方に関してアイデアを出し合い、パネル・パズルピース・付せんを使って設計書としてまとめました。時折、隈氏と談笑しながら作業をする場面も。その後、11グループが作った設計書が発表され、それぞれのアイデアに対して隈氏が感想を述べました。
自由な発想で生まれたアイデアの種は、「ここにいたい」と感じられる居場所づくりに生かされていくことでしょう。

▽「庁舎でこんな過ごし方をしたい」グループ発表で出た一部の意見を紹介
「市民公園ということで、季節の木々を植え、自然を楽しみたい。」
「子どもがおなかすいたら、フードコートや売店で食べものを買って、原っぱで食べたい。」
「市民広場の一角にシンボルツリーが欲しい。夏には短冊を飾ってみんなで楽しみたい。」
「うさぎやヤギなどの動物、ドッグランなどで子どもにも集まってもらえる空間を。」
「今は駅の待合室で勉強をしているので、庁舎に勉強ができる空間を。」
「カフェで買ったものを飲んだり食べたりしながら足湯に入りたい。」

▽今日が仲間との第一歩。継続的に市民が庁舎に関われる場を創れたら。
隈先生から「これから皆さんと創っていきたい」とのコメントをいただきましたが、今日の大きな目的はその1歩目になること。プランやアイデアの話もありますが、今日はここに座っている仲間と「初めて」の場を共有できたのはないでしょうか。2歩目、3歩目も仲間となって一緒に庁舎を創っていき、建設後も全て行政に任せるのではなくて、利用や管理のあり方についても市民の皆さんが考えていけるような機会をこれからも持てれば、と感じました。

宇都宮大学 地域デザイン科学部
石井大一朗(だいいちろう)准教授
令和2年度、那須塩原駅周辺まちづくりビジョン市民懇談会委員長として市民意見のとりまとめに尽力。

(ワークショップで出た意見などは、市ホームページでまとめて公開しています)

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