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歴史は未来の羅針盤 温故知新

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滋賀県日野町

[日野歴史探訪]
私たちの住む日野町には、52の大字があり、それぞれの地域が豊かな自然と歴史文化で彩られています。
温故知新では、町内各大字の歴史と代表的な文化財をシリーズで紹介していきます。

◆大字杉
佐久良川上流域に位置する大字杉は、北側は東近江市との境である八日市丘陵が続き、南には佐久良川が流れる大字川原、西は大字杣に接する地域です。
中世には大字杣とともに、杉杣郷の一部として推移し、応永(おうえい)28(1421)年の藤切(ふじきり)神社(東近江市)所蔵の奉加記録(ほうがきろく)に「椙(杉)杣」の字が見られます(『東櫻谷志』)。
桜谷の東にそびえる竜王山は、水の神である竜神が祀(まつ)られており、雨乞(あまごい)の山として古来、信仰を集めてきました。
谷筋に開かれた桜谷の村々は、生活に欠かすことのできない水を竜王山より流れ出る佐久良川より得ており、川沿いの各村は密接な関係を築いていました。寛文(かんぶん)8(1668)年の古文書に、杉・杣・川原の3村による雨乞の記録が残っており、生活の基盤をともにする村同士のつながりを垣間見ることができます。

◆大字杉の年中行事
多様な民俗行事が展開されている日野町ですが、大字杉においても特徴的な年中行事が行われています。
杉の日吉神社では1月に「山の神祭り」が行われます。「山口祭(やまのくちまつり)」とも称され、年初の山入りや、豊作を祈願する予祝儀礼(よしゅくぎれい)を中心とした初春の民俗行事です。
また「烏勧請(からすかんじょう)」と呼ばれる神事も併せて執(と)り行われています。この烏勧請は烏が供え物を食べるかどうかによって収穫の豊凶を占うもので、町内有数の特徴的な神事です。(『近江日野の歴史第六巻民俗編』)。
他にも、「ショウライ立て」や「地蔵盆」など、人々の生活に根差した年中行事が色濃く伝えられています。

◆大屋(おおや)神社の「茅草祭(ちぐさまつり)」
杉・杣・川原の氏神である大屋神社では、3大字の合同で7月31日に「茅草祭」が行われています。
祭礼の前日より、神社拝殿において「茅(ち)の輪」が作られます。この茅の輪は、直径が2・5メートルほどもあり、芯となる竹に菅(すげ)を巻き、さらにその上から茅草を巻いて作られます。また併せて、茅草を束ねた団扇(うちわ)形の「草形人形」(「天狗のうちわ」)が準備されます。
祭礼当日、本殿前での神事が終了すると、用意した茅の輪を用いた神事が執り行われます。代表の7名が、本殿横に置かれた茅の輪を取り囲むように並び、宮司の合図にならって内側へと入り、草形人形を片手に「三座めでたや」と唱えながら茅の輪を高く持ち上げ、くぐるように外へと出ます。この一連の所作を3回繰り返し、神事が終了となります。
すべての神事の後、この大屋神社においても、茅の輪を鳥居下へと運び、鳥居に渡された竹へとくくり付け、茅の輪を立てます。この輪をくぐると、風邪をひかないと伝えられています。
杉に鎮座する大屋神社で、杉・杣・川原の3大字によって執り行われるこの茅草祭は、地域の強いつながりと、人々の無病息災の願いが込められた大切な神事です。

問い合わせ先:近江日野商人ふるさと館「旧山中正吉邸」
【電話】0748-52-0008

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