文字サイズ
自治体の皆さまへ

歴史の小窓-学芸員のメッセージ-

2/52

滋賀県野洲市

■四面の鏡
野洲市三上山下古墳(みかみやましたこふん)から出土した2面の獣帯鏡(じゅうたいきょう)は、群馬県高崎市綿貫観音山(わたぬきかんのんやま)古墳(こふん)と韓国公州(こんじゅ)市武寧(ぶねい)王陵(おうりょう)から出土した鏡と同型鏡(どうかいきょう)として知られています。現在、市内に三上山下古墳という名称の古墳は実在せず、獣帯鏡は野洲市甲山(かぶとやま)古墳(こふん)から出土したと考えられています。
同型鏡とは、原鏡となる鏡を粘土に押し当て型をとった鋳型で製作された鏡のことです。三上山下古墳とされる甲山古墳と武寧王陵が築造された6世紀前半は継体(けいたい)大王(だいおう)が活躍した時代であり、同型鏡の分配に継体大王が深く関わっていたと考えられます。
武寧王陵は、百済(くだら)第25代武寧王とその王妃の合葬墓です。獣帯鏡は倭国(わこく)(日本)よりもたらされたものと考えられます。他にも木棺(もっかん)に日本列島特有のコウヤマキが使われるなど、倭国との交流を示す副葬品が見つかっています。
このようにみてくると、中国と朝鮮半島、そして倭国の近江・東国を結ぶ東アジア規模の交流をうかがい知ることができます。
当館では、これらの鏡を今月7日から11月26日まで開催する開館35周年記念企画展「四面の鏡-海を越え、つながる王-」で展示しますので、この機会に、ぜひご観覧ください。(博物館学芸員 芦塚晶太)

■開館35周年記念企画展四面の鏡-海を越え、つながる王-
「三上山下古墳出土獣帯鏡」二面(重要美術品九州国立博物館蔵)が初の里帰り展示
会期:10月7日(土)~11月26日(日)
休館日:月曜日(10月9日は開館)、10月10日(火)、11月24日(金)

■記念講演会
いずれも午後2時~4時
事前申し込み不要・当日受け付け、先着80人
・10月28日(土)「三上山下古墳出土獣帯鏡と大岩山古墳群」/花田勝広さん(元野洲市教育委員会文化財保護課長)
・11月11日(土)「継体大王と百済武寧王-継体朝の対外関係-」/大橋信弥さん(元滋賀県立安土城考古博物館学芸課長)

■担当学芸員による展示解説
11月18日(土)午後2時~

問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU