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歴史の小窓-学芸員のメッセージ-

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滋賀県野洲市

■北桜(きたざくら)の歴史を伝える鰐口(わにぐち)─初公開の文化財─
博物館では近年に収集した文化財を紹介するテーマ展を開催しており、今回が初公開となる資料も展示しています。
その一つが、野洲市北桜に伝わる鰐口(わにぐち)です。鰐口とは、仏教の法会(ほうえ)などで打ち鳴らす楽器ですが、寺社の軒に吊り下げられている様子を見ることもできます。
本品は北桜の行者堂(ぎょうじゃどう)の調査時に、堂の正面軒に吊り下げられていることを確認しましたが、北桜の歴史を探るうえで重要な文化財と判断したため、博物館で保管することにしました。
鼓面(こめん)に(1)「寛文(かんぶん)八年(はちねん)戊申(つちのえさる)正月吉日(しょうがつきちじつ)敬白(けいはく)」、(2)「江州(ごうしゅう)野洲(やす)郡(ぐん)北桜(きたざくら)村若宮(むらわかみや)大明神(だいみょうじん)」、(3)「坂口(さかぐち)三郎右衛門(さぶろうえもん)」の文字が刻んでありました。
まず、(1)から江戸時代の寛文8(1668)年正月に作成されたことがわかります。つぎに、(2)の若宮大明神は現在の若宮神社で、(3)の坂口三郎右衛門家は北桜に所在する家であることを調査で確認しました。
これらのことから、本品は寛文8(1668)年に北桜村の坂口三郎右衛門によって、同地の若宮神社に寄進(きしん)され、経緯は不明ですが、後に行者堂に伝わったと考えられます。
文化財の調査研究から、その歴史的・文化的な意義や価値を見出し、郷土の歴史を明らかにすることは学芸員の仕事です。しかし、そのためには、文化財を収集・保管するという博物館の基礎的な活動が何よりも重要となります。
新たに収蔵した文化財から、明らかになった野洲の歴史を知っていただくとともに、博物館の役割についての理解も深めていただく機会となれば幸いです。
(博物館学芸員齊藤慶一)

■夏期テーマ展「新収蔵品展-資料収集と博物館の役割-」
開催中~10月1日(日)
※会期中の休館日:月曜日(9月18日(祝)は開館)、9月12日(火)~14日(木)・19日(火)
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカードをご提示ください。)
※市ホームページ等で事前に開館状況をご確認の上、ご来館ください。

歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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