■貝とマリア観音
江戸幕府がつくり上げたキリスト教禁教社会のなかで、潜伏キリシタンは各地で様々な工夫を凝らしながら信仰を継続しました。漁業が盛んだった天草地域では、豊漁祈願にあわせてアワビなどの貝殻が信仰対象になっていました。その中央に据えられているのは「マリア観音」と呼ばれるもので、観音を聖母マリアとして祈りを捧げたといわれます。このように身近なものを用いながら、潜伏キリシタンは目立たないように信仰を続けていたのです。
熊本大学大学院社会文化科学教育部2年 牧野寿美礼
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