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【特集】災害から命を守るために(1)

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熊本県人吉市

球磨川やその支流が氾濫し、多くの市民の尊い命と財産が奪われた令和2年7月4日。本市にとって忘れられない日となりました。あれから間もなく3年。降雨量が増え、川が増水しやすい時期に入る今こそ、経験から得た教訓を生かし、改めて災害への備えを再確認してみませんか。

■被災者の声から学ぶ「非常用持ち出し袋」の備え
非常用持ち出し袋とは、避難するときに当面必要となる最小限のものを納めたもの。令和2年7月豪雨で被災する以前から、非常用持ち出し袋を備えていたという鈴木節子さんに、袋の中身を見せてもらいました。

◆[Interview]鈴木 節子さん(温泉町)
18歳のとき、昭和40年7月洪水を経験。平成23年から12年間務めた温泉町の民生委員・児童委員を昨年11月に退任

○いつもと違うと感じたあの日
「紅取山(べにとりやま)にかかった雲が球磨川に降りてくると川が氾濫する」。私がまだ幼かったころ、父から聞いた話です。令和2年7月3日午後6時ごろ、私は球磨川近くの職場にいたのですが、父の言葉をふと思い出して山を見ると、まさに雲が降りてきている状態。直感的に「これはまずい!」と感じてすぐに帰宅し、非常時に支援が必要な高齢者宅を歩いて訪ね、「いつでも避難できるように、いつも飲んでいる薬と着替え・タオル類を用意していてほしい」と伝えました。
温泉町では、民生委員・児童委員を中心に「高齢者等避難」などの避難情報が発令されたときに、支援を必要とする人を誰が支援し、どこに避難させるかをあらかじめ決めていたからです。

○危機一髪で助かった命
7月4日に日付が変わったところで前日に声を掛けていた高齢者の皆さんに電話を掛けて一緒に避難することに。避難所に到着したのは午前4時前で、川が氾濫し始めたのが7時50分ごろ。町内のみんなで協力し合って避難できたことで誰一人として失わず、本当に良かったです。
この経験から、命を守るためには日頃の備えと早めの避難が大切だと改めて感じました。令和2年7月豪雨のような災害はもう2度と起きてほしくありませんが、これからもあの日のことを忘れずに災害に備えていきたいです。

◆鈴木さんの非常用持ち出し袋の中身(2〜3日分)
※あくまで一例です。災害時に必要なものは多くの人にとっての必需品もありますが、性別や年齢、家族構成、普段の生活スタイルで一人一人違いますので、自分用にアレンジして準備しましょう。
・帽子
・マスキングテープ
・ペン
・塗り薬
・ばんそうこう
・ティッシュ類
・爪切り
・はさみ
・懐中電灯
・カッター
・貼り薬
・飲み薬
・水
・割り箸
・歯ブラシセット
・指サック
・ビニール袋
・充電器
・下着
・タオル
避難時は両手が自由に使えたほうがいいので、非常用持ち出し品の入れ物はリュックなど背負えるものにしています。リュックの大きさはいろいろありますが、1人分ならこのサイズのリュックに収まります。重さは背負ってみて重たくないと感じる範囲を目安にしています。
リュックとは別に洗濯かごに用意している持ち出し品もあり、車内に常備しています。
(本紙5ページで紹介)

○貴重品はリュックに入れない!
携帯電話や財布、身分証明書などの貴重品はリュック(非常用持ち出し袋)に入れず、いつも持ち歩くバッグに入れ、肌身離さず持ち歩きます。

◆洗濯カゴにも非常用持ち出し品
何も持たずに避難してきた高齢者などに提供したり、避難が長期化した場合に使ったりできればと、非常用持ち出し品を洗濯カゴにセットして車内に常備しています。
万が一、車で外出しているときに被災した場合や車内で一時的な避難をすることになった場合にも役立ちます。(鈴木さん)

○洗濯カゴに入れているもの
・歯ブラシセット
・雨具にもなるジャンパー
・タオルケット
・タオル
・化粧水
・石鹸
・軍手
・紙コップ・割り箸などの使い捨て食器
・薬
・ティッシュ類
・乾パンやスープなどの食料品 など

[Pick up]ファスナー付き保存袋
口を密閉できるので、食べ物や衛生グッズの保存や濡れた衣類を入れるときに役立ちます。大小さまざまなサイズを準備しておくとさらに便利。

[Pick up]ウエットティッシュ
避難中はシャワーを浴びられないこともあるので、手だけではなく全身を拭けるような大きめサイズのウエットティッシュを持っておくと便利。

■災害時、近隣での助け合いが円滑に行えるよう備えてみませんか?
○福祉台帳の登録
災害時に自力で避難ができないと思われる人(高齢者や障がいがある人など)は、「福祉台帳(避難行動要支援者)」に登録してください。登録された情報は災害時の安否確認や避難、救助活動、防災訓練などに活用します。

○災害時等支え合いマップの作成
高齢者や障がいがある人などは、地域の皆さんの避難支援体制が必要です。地域の危険箇所や誰が避難支援するかなどをまとめた「災害時等支え合いマップ」を作成してみませんか。

申込み・問合せ:市福祉課福祉政策係
【電話】電話22-2111(内線1261)

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