平島(ひらしま)の大太鼓(おおだいこ)は、江戸時代に作られ、平島区に伝わってきた大きな太鼓です。熊本地震で被災しましたが、公益財団法人朝日新聞文化財団からの助成金を受け、修繕が行なわれました。大太鼓の「これまで」の歴史と「これから」の未来を紹介します。
■これまで
◇生涯学習課
前田 純子(まえだ じゅんこ)学芸員
平島の大太鼓は、明和(めいわ)8(1771)年、笠幸右門(りゅうゆきえもん)(吉良(きら)家家臣)によって浄帰寺(じょうきじ)に奉納されたと言われています。大きさは、直径134cm、胴回りが420cmもあり、一本のケヤキをくりぬいて作られた太鼓で、これだけの大きさの物は県下でも少なく、大変貴重な文化財です。革が破れ胴回りを残すのみとなっていたものを修復し、平成11(19999)年6月10日に旧合志町の有形文化財に指定しました。
浄帰寺の歴史について言い伝えを書き記した『浄帰寺再興に関わる覚え書き』には、明和8年の寺の再興時に奉納され「奉納歌舞伎一座の役者全員と有志が従い、太鼓を叩きながら奉納歌舞伎をふれて廻った」と記されています。また、内部には製作者らの名とともに、「天下泰平国家安□」(□は判読不明)と記されていることから、祭りや雨乞いのために使用されたと言われています。
浄帰寺は、『肥後国誌(ひごこくし)』によると元和(げんな)元(1615)年に旧平島村に建てられました。明治6(1873)年に廃寺となり、跡地には天満宮・薬師堂が残されています。
■太鼓の革の張り替え作業
(1)鋲(びょう)を抜いて、革を仮張りします。
(2)水で濡らしながら踏んで革を徐々に伸ばしていきます。
(3)鋲を打ち 固定します。
(4)不要な革を切り取り、最後に太鼓を磨き上げて完成です。
■これから
◇県博物館ネットワークセンター
樋口 和紀(ひぐち かずき)学芸員
子どもの頃から親しむ環境がなければ、大人になってから急に文化財を継承していくことは難しいと感じています。お披露目式の『太鼓ふれあい会』のような機会を増やし、地域の大切な宝物だという意識や愛着を育んでいってもらいたいと思います。
◇栄コミュニティ運営委員会委員長
髙山 俊幸(こうやま としゆき)平島区長
地域の皆さんの助力により平島の大太鼓を修繕することができました。次の世代に確実に受け継いでいくためにも、これからイベントなどで積極的に活用していきたいと考えています。皆さんもぜひ歴史ある貴重な大太鼓の響きを聴きに来てください。
◇栄コミュニティ
中島 瑞枝(なかしま みずえ)指導員
今後、大太鼓は栄市民センター「みどり館」に展示します。私はコミュニティ指導員として、この太鼓を周知・活用していくために、地域の皆さんと行政などの橋渡しを行ないます。みどり館でお待ちしていますので、気軽に声をかけてください。
問合せ:
・生涯学習課生涯学習班【電話】096-248-5555
・栄市民センター「みどり館」【電話】096-248-0400
ホームページでも紹介しています
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