文字サイズ
自治体の皆さまへ

宇輝人 vol.86

7/32

熊本県宇城市

■人と人とのつながりが地域をにぎやかに
◇つながる思い
三角町矢崎地区の国道266号沿いに、彩り鮮やかな花々が咲く場所をご存じだろうか。
ここは、自分たちが住んでいる地域を盛り上げたいという人々、「矢崎地域活性化委員会」が作り上げた場所。
平成27年に40代から70代の地元の有志で結成されたこの会は、農業者や大工など幅広い顔ぶれがそろう。
発足のきっかけはその10年前。地域の皆でクリスマスイルミネーションを作り上げた。環境美化部会長でミカン農家の冨武聖一(せいいち)さんは、懐かしそうに当時を振り返る。
「20年前の夜、近所を歩いていた時に矢崎は暗いなと思いました。あの斜面の民家にLED電飾を付ければ明るくなるんじゃないか。」このアイデアを当時の矢崎区長たちに話し、仲間を集め、打ち合わせを重ねに重ね、実行した。郵便局や住民にも協力をお願いし、点灯式には青海小の6年生を呼んだ。そして、この活動は10年間継続させた。
「みんなで一つの目標に向かって作り上げていくことで、地域に連帯感が生まれる。参加した住民がみんな笑顔に。その瞬間が忘れられないです。」と冨武さんはうれしそうに語る。
矢崎をみんなで盛り上げたいという思いが集い、世代を越えた交流がつながり、同会が誕生した。

◇地域を盛り上げるために
国道266号沿いの花壇は、若いメンバーを中心に約20人が集まり、毎年春と秋に花を植える。矢崎地区の人たちにとって、この場所は玄関口。地域を明るくするには「まず玄関から」という思いで、事前に皆で花の配置から考える。冬には門松を作って、矢崎天満宮を着飾り、初詣の参拝者を迎える。
子どもたちを守ることも、役割の一つ。その担い手は「子供見守り部会」の鉄石憲一(けんいち)さんと矢澤和法(かずのり)さんだ。
「矢崎に住んでいる小学生は6人。朝、それぞれの家に迎えに行き、青海小まで一緒に歩きます。子どもたちは色んな話しをしてくれるので元気をもらいます。」と笑顔の矢澤さん。
ほぼ毎日子どもたちと顔を合わせ、時には子どもの様子を保護者に伝える。見守った子どもたちから手渡される感謝の手紙や寄せ書きは、さらなるやりがいを生む。
5月中旬、初夏の暑さの中、作業を行うメンバーたち。120個のセンサーライトを街灯がない道路沿いの民家の軒に取り付けた。子どもたちの下校時や高齢者が散歩する時に危険な夜道。地域で安心して暮らせるようにとの思いを形にする。8月には、地区の納骨堂に竹灯籠を設置し、帰省客を迎える初の取り組みを実施予定だ。
「何もしなければ、地域は廃れていくだけ。どこにでも知恵を持っている人はいるはず。矢崎だからできたわけではありません。それを行動に移すかどうかはその地域次第。」と鉄石さん。
今日も矢崎地区集落センターには地域への思いを抱いた人々が集まり、楽しく語り合う。その思いが子どもたちから高齢者まで輪のように広がり、この地区には笑顔があふれる。

●矢崎地域活性化委員会
yazaki-chiiki-kasseika-iinkai
平成27年6月に設立した三角町の地域づくり団体。会長の鉄石さん、副会長の矢澤さんをはじめ、環境美化部会、イベント部会、花部会、子供見守り部会、女性部会の五つの部会から構成され、矢崎地区集落センターを拠点に活動。現在28人が所属し、自分たちが住む矢崎地区を盛り上げたいという思いを胸に日々活動している。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU