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人権・同和教育シリーズ(214)

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熊本県菊池市

■語りつなごう平和のバトン
地域人権教育指導員 宮川淳一(みやがわじゅんいち)

□空あおぎ 平和を祈ろう 花房飛行場あと(菊池ふるさとかるた引用)
写真に写っているのは、花房飛行場給水塔(富の原中央)です。富の原地区には、あちこちに戦争の爪痕が残っています。花房飛行場は正式には菊池飛行場といい、戦時中に陸軍の飛行学校として、1940(昭和15)年、花房台地に建設されました。
飛行場には、数多くの練習機や戦闘機、施設があり厳しい訓練が行われていました。しかし、終戦間近の1945(昭和20)年5月13日から14日にかけての大空襲でほぼ全壊し、多くの犠牲者を出しました。
戦後、給水塔はこの地域の復興にも大きな役割を果たしたことから、市の文化財に指定されています。他にもガソリン貯蔵庫、格納庫、門柱などが残っていて、これらを見て回ると戦後の平和のありがたさを感じます。
訓練を積んだ多くの若者たちを見送った人々のさまざまな思いが胸を締め付けます。戦争は絶対に起こしてはなりません。命を軽んじる過ちを二度と繰り返してはいけないのです。

□歴史と記憶を風化させない
戦後78年が経ち、多くの人たちの記憶から悲惨な状況が忘れ去られようとしています。戦時中の様子を知る人や家族を亡くした人たちは、高齢化し語り継ぐ人は少なくなってきています。
そんな中、飛行場跡の施設や資料を後世に残そうと有志が知恵を出し合い活動をしています。その一つが、「菊池飛行場ミュージアム」です。多くの人にぜひ一度訪れてほしい場所です。
ミュージアムの事務局の人は、「人の記憶は時代とともに忘れ去られがちです。飛行場跡地に残された戦争遺跡を見て、当時そこで生活していた人の話を聞くことにより、戦争があった事実を知る。これにより、平和の大切さを理解できるのではないかと思います。特に、若い人たちに知ってもらいたい。後世に伝えてもらいたいのです。私たち大人には、これからの時代を生きる子どもたちに、平和のバトンを渡していくという大きな責任があると考えます」と、熱く話されました。
飛行場の見学は、事前に予約をすれば、時間をかけて遺跡を見ることもできます。

□戦争は最大の人権侵害
広島や長崎に原爆が投下された日でさえ忘れ去られようとしています。だからこそ、身近にある戦争遺跡に関心を持ったり歴史を学んだりすることが次の世代へのバトンとなるのです。
未来の子どもたちに残すものがあるとしたら、戦争や差別のない社会ではないでしょうか。

問い合わせ先:人権啓発・男女共同参画推進課
【電話】0968-25-7209

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