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なぜ山に登るのか(1)

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熊本県阿蘇市

Why do people want to climb
Mt.Aso?

私たちにとって山は日常の風景であり、日々の生活の一部です。
その存在はあまりに身近で、時にその大切さを忘れてしまいそうになります。
8月11日は「山の日」。
山に親しみ、山の恩恵に感謝する日です。

一歩立ち止まり、身近な山の姿を見つめ直してみませんか。
「なぜ山に登るのか」
それぞれのストーリ―は、山に囲まれた私たちのまちのことをもっと好きにしてくれるはずです。

■なぜ山に登るのか 最高の景色を求めて
日本百名山にも数えられ、多くの人が登山に訪れる阿蘇山。一人の女性の登山デビューに密着しました。

「楽しみ」。高岳を眼前に臨む仙酔峡駐車場で女性が呟きました。時間は午前4時40分。東の空は白み始めていました。女性は菊陽町から訪れた登山者。阿蘇山に登るのは小学生のとき以来と話します。「最後まで登れるかな」
午前5時、期待と不安を胸に登山開始。高岳へ向かう4つのルートのうち、仙酔峡ロープウェイ跡ルートを歩きます。振り返ると、朝日に照らされた雲海。長く続く登り道に苦しそうな顔を見せていた女性でしたが、この絶景に疲れも吹き飛んだのでしょうか。スマートフォンを取り出し、興奮したようすでシャッターを切っていました。
歩き始めて約1時間、右手に中岳の火口が見えてきます。火口東展望所です。「まるで異世界」。荒涼とした風景に驚きの声が上がりました。ごつごつとした岩場をさらに進むと高岳山頂です。登ること約2時間半。雲海はすでに消えかかり、眼下には阿蘇市街が広がっていました。青々とした水田の中に点在する集落。標高1592メートルから見下す阿蘇谷の景色は、雲海とはまた違う爽快感を楽しめます。
山頂では「高岳」と記された標識と共に写真を撮影した女性。登山中に撮影した写真は逐一SNSで共有し、これまでにない数の反応が寄せられたそうです。「雲海の写真が一番です」。女性はうれしそうにスマートフォンの画面を見せてくれました。阿蘇の山々が多くの人々を惹き付けたということでしょう。「また来たい」。夏の阿蘇を眺めながら女性は言いました。

○Information
あなたの好きな阿蘇山をシェアしよう
山の日記念阿蘇山フォトコン開催中

8月11日の山の日を記念して、阿蘇市公式Instagramでは「阿蘇山フォトコン」を開催しています。阿蘇山を対象に撮影された作品が対象です。
阿蘇市公式Instagramをフォローし、#my_aso_tozan2023をつけて投稿してください。上位入賞者には豪華なプレゼントもあります。応募は8月11日(金)まで。あなたの好きな阿蘇山を世界中の皆さんと共有しましょう。

■なぜ山に登るのか 火山の息吹を求めて
阿蘇観光の目玉として多くの観光客を受け入れてきた阿蘇山上エリア。熊本地震や噴火からの復旧も進み、火口見学が大きく変わろうとしています。

「しかし阿蘇へ登りに来たんだから、登らないで帰っちゃあ済まない」
夏目漱石の小説「二百十日」の主人公・圭さんが、噴火口を見るのを諦めて熊本へ戻ろうと言う同行者・碌さんに放ったことばです。圭さんたちは前日、中岳へ向かう途中に遭難しかけて登山を断念していました。
噴煙を上げる中岳第一火口を前に、圭さんと同じ気持ちになった観光客が何人いたことでしょうか。近年は火山ガス規制などで年間の見学率が6割弱となっており、見学入口ゲート前まで来たものの、ガス規制で入れずに落胆しながら引き返す観光客の姿は珍しくありませんでした。

○新見学エリアEゾーンと二次避難休憩施設
見学率の向上につなげようと、火口の北西部に整備が進められてきたのがEゾーンです。北風の影響を受けやすいこれまでの見学エリアBゾーンとは方角が異なる箇所に設けられ、火山ガスによりBゾーンの立ち入りができない時に限り、専用バスでのみ立ち入りができるようになります。
Eゾーンの整備には環境省の補助金も活用。道路、見学エリア、転落防止柵、ガス検知器を市、退避壕2基を県が整備しました。
Eゾーンではすぐ下に火口を望むことができ、その眺望はBゾーンよりも優れているとされています。Eゾーンの整備は、火口での新たな体験の創出にも繋がると期待されます。
市は、Eゾーンと合わせて、ロープウェイ駅舎跡地に避難所の機能を持った二次避難休憩施設の整備も進めてきました。施設は鉄筋コンクリート造の平屋建てで、中には休憩スペースや救護室、トイレ、案内所を設けています。

「二百十日」は立春から210日のちょうど9月1日ころ。Eゾーンの運用開始と二次避難施設の利用は、二百十日を前にした8月10日から。圭さんたちが辿り着けなかった晩夏の中岳。圭さんたちに想いを馳せながら目指してみるのもいいかもしれません。

◆新見学エリアEゾーンQandA
○Eゾーンにはどうやって行くの?
A.阿蘇山上ターミナルを発着する専用バスでのみEゾーンに行くことができます。自家用車では行くことができません。
Eゾーンではバスの外から見学できます。見学時間は約15分。所要時間はバス出発から約30分です。
※バスは運賃がかかります。
※Eゾーンの火山ガス濃度が基準値以上の場合は運行しません。
※トイレはありません。乗車前に済ませてください。

○Eゾーンはいつでも見学できるの?
A.Eゾーンを見学できるのは、Bゾーンの火山ガスの濃度が高く見学できないときで、Eゾーンの火山ガスの濃度が5ppm未満のときです。
開設されるのは8月10日からですが、実際に見学できるかはその日の火山ガスの状況次第です。

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