「無名塾+市民合同公演」として、10月20日から11月5日にかけて全15公演が行われた「等伯-反骨の画聖-」。市民がキャストとして出演するという異例の試みが行われた本公演は、これまで共に舞台を作り上げてきた市民と無名塾の物語に、新たな1ページを刻みました。
■観客の心を震わせる等伯の生きざま
いしかわ百万石文化祭2023七尾市地域文化発信事業として行われた本公演。七尾が生んだ希代の絵師「長谷川等伯」の生涯を無名塾主宰・仲代達矢さんの演出で舞台化し、主人公の等伯を無名塾13期生の赤羽秀之さんが演じた。
物語は、長谷川信春(等伯の青年時代の名)と等伯が同一人物という説の確証を得るため、美術館の学芸員が信春に扮して400年前にタイムトリップするという設定で、序盤は、等伯が京の都で名を揚げるまでの雌伏の時代を中心に進行。日の目を見ない腹立たしさ、当時の画壇の中心である狩野派への野心などが包み隠さず描かれており、それがかえって等伯の人間味を引き立て、見る者を物語の世界へと引き込んでいく。
「波乱万丈な生きざまが等伯の魅力」と赤羽さんが語るように、物語は大きな転換点を経て佳境へ。終盤、筆を手にした等伯が一心不乱に松林を描く様は圧巻で、その鬼気迫る姿に客席から惜しみない拍手が送られた。
観客からは「等伯の心情の描き方が美しく、感動した」「素晴らしい公演をありがとう」と賛辞が送られ、舞台は大盛況のうちに幕を下ろした。
赤羽さんは本公演を「等伯の魅力的な生きざまを伝えることができたら、感動していただける作品になる」と話していたが、逆境の中を生き、花開いた「反骨の画聖」長谷川等伯の生きざまは、確かに私たちの心に感動を届けてくれた。
■等伯の描きたいものを知ることができました!
中島中学校3年 前田将汰さん
等伯が、最後に自分の描きたいものに気付いて描く場面が、迫力があって引き込まれました。多くの人に長谷川等伯を知ってほしいです。
■等伯の生きざまや仲代さんの演出に感動!
千葉県から観劇に来た皆さん
等伯の歴史を知り感銘を受けました。能登の風景が素晴らしく、舞台奥の扉が開く演出にも感動。たくさんの拍手を送りました。
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