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演劇は、人と人をつなぐ文化だ(3)

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石川県七尾市

■特別対談 茶谷市長×赤羽秀之さん×円地晶子さん
「等伯ー反骨の画聖ー」の公演を終えた等伯役の赤羽秀之さんとお清(後妻)役の円地晶子さんに、公演の振り返りや七尾市への思いを伺いました。
等伯役:赤羽秀之さん 無名塾13期生神奈川県出身
お清(後妻)役:円地晶子さん 無名塾25期生千葉県出身

市長:今回の公演は、いしかわ百万石文化祭2023七尾市地域文化発信事業としての公演でした。七尾が誇る天下の絵師・長谷川等伯と演劇文化を全国へ発信する機会にしたいと開催しました。作品は、美術館の学芸員が若き日の等伯に扮して、タイムトリップするという面白い内容で、長谷川等伯という人物の魅力をますます感じることができました。
赤羽:等伯は、波乱万丈な生きざまが本当に魅力的で、その役を演じることができるのは、すごく楽しみでしたし、やり応えのある仕事でした。
円地:等伯は、知れば知るほどすごい作品を残していますし、私も等伯という作品に携われたことが、すごく豊かな時間だったなと感じています。
市長:今回は仲代さんが演出されました。どのようなことにこだわっていましたか?
赤羽:演出家の方は通常だと、役のイメージを先に説明されることが多いですが、仲代さんは、役者が感じ取ったイメージを尊重してくれるので、とてもやりやすかったです。
円地:仲代さんは、それぞれの個性を大切にされるので、市民キャストの皆さんに対しても「皆さん全然違うから素敵だね」と、何度もおっしゃっていました。
市長:大扉が開く演出も良かったですね。
赤羽:なんといっても、能登演劇堂の特徴は舞台奥の扉が開くことですよね。日本全国どこにもない唯一無二のものですから。今回は、どうやって開けるのだろうと思っていましたが、市民キャストの方が出演してくれたおかげで、七尾から京都へ旅立つシーンが作られ、扉を開けることができました。
円地:当初は、物売りの女性だけが外から出てくるシーンでしたが、10人全員出演するシーンに変わり、すごく良い場面になったなと思います。
市長:本当にタイムトリップしたかのようなシーンでした。市民キャストの皆さんとの共演はいかがでしたか?
円地:稽古に合流した時点で、皆さん素敵に演じていて感動しました。ですが「もっと良くしたい。どうしたらいいですか?」とおっしゃるので、時間をかけて稽古しました。
赤羽:市民キャストの皆さんは、僕らの想像以上の演技で、合流する前からしっかり稽古していたのが分かったので、「もう少しできるだろう」と、より細かい部分にもこだわった稽古になりました。
市長:本当に素晴らしい演技でした。舞台の醍醐味(だいごみ)はどういったところにありますか?
円地:見ている人とその場でいろいろなことを共有できるところですかね。等伯という作品も、等伯に共感したり、自分の人生と照らし合わせたり、皆さんの思いも含めて、最後の松林図を描くシーンに全員で到達していくという臨場感ですかね。
赤羽:僕の言葉じゃないのですが、初日の公演後、記念撮影のときに仲代さんが、「やっぱり舞台は、客席から見るものじゃなくて、立つものだな」とつぶやいたんですよ。キャリア70年の俳優の心の底をみたようで、目頭が熱くなりましたね。
市長:そんな名優の仲代さんに、七尾市のことを「第二の故郷」とおっしゃっていただけてありがたいです。お二人の七尾市への思いを教えてください。
赤羽:七尾に住む皆さんが、演劇っていいものだなと気が付いてくれたおかげで能登演劇堂が建ち、それから「お帰り」「ただいま」みたいな感じで家族のような付き合いを30年近くさせていただいています。今回出演していただいた市民キャストの勢登さんは、地元の魚屋の息子さんなのですが、僕たちが昔、合宿していた頃は小学生とかで―。感慨深いですね。
円地:私は、能登演劇堂が建ってから入塾しているのですが、当時中島町の方が、ご飯を作ってくださったり、町のマラソン大会に参加させてもらったりと、温かさを全身で感じていました。それがこうしてずっとご縁が続いて、本当に毎回来るたびにうれしいです。
市長:ありがとうございます。最後に、市民の皆さんにメッセージをお願いします。
赤羽:今回の等伯公演にもたくさんの方にお越しいただき、本当にありがとうございました。また何年後かに再演できればうれしいです。今後も「演劇と言えば七尾」と全国の人に言ってもらえるよう、毎年の公演を成功させたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
円地:たくさんの方に等伯という作品を見ていただけて本当にうれしく思います。この作品は、無名塾にとっても七尾市民の皆さんにとっても、未来につながる大切な作品になったのではないかと感じています。そして七尾の演劇文化をこれからも一緒に盛り上げていけるよう、精進して参ります。また劇場でお会いできることを楽しみにしています。

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