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まちかど a street corner(230)

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石川県津幡町

■届けたかった「禁酒で建てた学校」の紙芝居上演
5月に、G7富山・金沢教育大臣会合の後半が金沢市で開催された。
昨年10月に津幡町と小矢部市の観光ボランティア団体の交流会で、サブイベントとして「禁酒で建てた学校」の紙芝居を上演したところ、同団体から「来年のG7サミットで上演したらどうか」という提案があり、上演グループ内からも「よし、頑張ろう!」と方策を練り始めた。県の案件で行政側からサミット開催推進室に「提案書」を提出、さらに知人から「手をあげて知ってもらうことも大切」と言われて地元紙に働きかけ、11月に「津幡の住民・県に要望」の記事を掲載してもらった。諸般の事情で紙芝居の上演はできなかったが、「禁酒物語」の冊子を町が制作してくれた。日本語はもちろん、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語で翻訳された冊子は会場に置かれ、出席者に禁酒で学校を建てたという稀有な史実を知っていただくことができた。
大正15年4月から5年の間、河合谷村民が前例のない禁酒で学校を建てた美挙は、新聞を通じて国内はもとより外国にまで広がり、感動の激励文や義援金が届き、海外からの視察団や、昭和7年には日本国民禁酒同盟一行が視察に同校を訪れ、祝意と第30代斎藤実首相が「禁酒興國」と揮き毫ごうした扁額も届けられた。
ところで、あまり知られていない活動が現在も続いていることをお伝えしたい。紙芝居の11枚目に「その後、村では次の学校建設のために木を植え、それが河合谷財産区の始まりです」と書かれている。同区所有の土地に、国や県などに主に杉や檜を植林してもらい、契約期間(主に80年)育てて成林後に木を販売し、代金を一定の割合で受け取り基金として積み立てており、そこから令和3年6月に落成した河合谷宿泊体験交流施設「河愛の里キンシューレ」の備品購入のために一部を取り崩し提供した。
これからも未来ある子どもたちのために、禁酒で建てた学校を語り継ぐ会は機会あるごとに先人たちの「河合谷魂」を伝えることに尽くしたい。

▽金田信市(かねだしんいち)
津幡町横浜在住。平成25年より津幡地区民生児童委員。同26年に「金沢城・兼六園研究会」の会員。同27年から町内の小学校などで紙芝居「禁酒物語」を上演する「禁酒の学校を語り継ぐ会」、令和4年4月「つばたふるさと探偵団」のメンバーにも。
大の映画ファンで、毎年約50本を映画館で鑑賞する。

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