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地域医療最前線!公立河北中央病院赤ひげ通信

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石川県津幡町

■高齢者の排尿トラブルについて
「トイレが近い、我慢するのが大変」という症状(頻尿、尿意切迫感)がある方は国内に810万人いると推定されており、中には尿意を我慢できずに漏れてしまう(尿失禁)方も少なくありません。検査を受けて病気が見つかれば治療が必要ですが、特に原因が見つからなければ「過活動膀胱」という状態が関係してきます。
過活動膀胱は、自分の意思とは関係なく膀胱が勝手に収縮し、頻尿や尿漏れを引き起こす病気です。膀胱には300~500ミリリットルの尿を溜めることができ、尿でいっぱいになると、脳に信号が送られ、尿意を催します。排尿の準備が整うと脳から指令が出て排尿筋が縮み、尿道括約筋が緩んで尿が排泄されます。この仕組みがうまく働かないと排尿トラブルが起こります。
人は年齢とともに体の諸機能が低下しますが、過活動膀胱も中高年者に多い状態のひとつです。本人にとってはとてもつらく、トイレの不安のために外出を控えたりするなど、QOL※の低下に繋がります。なお、前立腺肥大症の方に多いのですが、排尿時に尿が出きらず、膀胱に尿が残っているために頻尿になっていることもあります。排尿直後で膀胱内に尿が100ミリリットル(高齢者では50ミリリットル)以上ある場合は検査、治療が必要です。残尿量は超音波で検査でき、当院でも行っています。

▽治療について
1.薬による治療
膀胱が勝手に収縮するのを抑える「抗コリン薬」や膀胱を緩めて尿を溜める機能を高める「β3作動薬」を使用します。また、男性では前立腺肥大症が過活動膀胱の原因になっていることが多く、このような患者さんは、まず前立腺の治療を行います。

2.膀胱訓練
尿意を催してもできるだけ我慢し、膀胱容量を広げる訓練
まず短時間から始め、最終的には2~3時間の排尿間隔となるように訓練します。排尿日記をつけることで成果が実感できます。

3.骨盤底筋訓練
骨盤底筋が緩むと尿道を締める力が弱まり、尿漏れの原因になります。
骨盤底筋訓練は、骨盤底筋を鍛え、尿漏れを防ぐトレーニングです。まず、仰向けになって体の力を抜き、肛門、膣、尿道をギュッと締めた後、10秒間骨盤底筋を緩めます。(1回10分、1日数回)これらの訓練を毎日続けます。

4.手術による治療
弱くなった尿道を手術で支えます。

▽日常生活で注意すること
・寒い場所は避け、体を冷やさない
・外出時はトイレの場所を確認する
・眠る直前の飲水は控える
・便秘や太りすぎに注意する

※生活の質を意味する

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