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【特集】厚木の産業 まちを支える企業の力(1)

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神奈川県厚木市

市内には5000を超える企業があり、活発な企業活動はまちづくりの土台を支えています。さらなるまちの発展のため、市では企業誘致に力を入れています。特集では、市の企業誘致制度を使って工場を新設したり市内に移ってきたりした企業を紹介します。

■2005年以降に誘致した企業数と件数(企業誘致条例の適用企業)
新設:26件
増設:53件
移設:15件
合計:71社94件
総投下資本額(立地企業が市に投資した額):1677億円

■共英産業株式会社(鉄筋加工)
鉄筋がぶつかり合う金属音が響きわたる工場。天井に設置されたクレーンは鉄筋の束を釣り上げて動いています。工場がある森の里東地区は2015年から土地区画整理事業の工事が始まり、現在は7社が操業。今年全工区が完成します。2年前に座間市から工場を移転した共英産業では、鉄筋の切断や加工などを担っています。

▽移転先に選んだ厚木
工場では1日に約200トンの鉄筋を扱っています。移転を考える上では、作業を効率よく安全に進められるスペースの確保が重要な要素の一つでした。移転前の工場では、トラックの通路と加工作業場が入り組んでいました。「100メートルの広さを確保できることが決め手になり、厚木を選んだ。移転には、機器の移設や購入などにもお金がかかる。市の立地奨励金や税の優遇もありがたかった」と工場長の森正志さん(47)は振り返ります。移転によりインターチェンジも近くなり、製品の搬出や材料の調達など、物流の面でもメリットがありました。「厚木は高規格道路が充実している。建設中の道路も多く、これからもっと便利になる」と期待を寄せます。
25年間勤務する今村勇一さん(48・山際)も「以前より安全に作業でき、効率も上がった。自分たちの意見も取り入れてもらえて働きやすい造りになった」と話します。今村さんが担当している業務は、100本を超える鉄筋の切断。量が多いため、正確さに加え速さも求められる作業です。計40キロにもなる鉄筋をしならせ滑らせるように台に乗せ、6本ほどをそろえ切断機を操作。大きな音を立てて切られた束は長さごとに分けられ、曲げ加工へと運ばれます。

▽正確で安全な作業を
決まった作業でも、常に緊張感があります。「長く働いていると、機械でけがをする同僚の姿も見てきた。安全には常に気を配ってる」。そう話す今村さんの手つきは慣れていても、まなざしは真剣です。小さな束でも数百キロ、大きな束では数トンにもなる鉄筋は、クレーンで釣り上げて移動させます。重心を見極めてワイヤーをかけ、手元のリモコンを操作する作業にも、危険はつきものです。「一番緊張するのはクレーンを上げる時。重心の真上にクレーンがないと、鉄筋が一気にズズズッとずれていく」と話す今村さん。初めて操作する人に指導することも多く、安全に早く作業するために気を付けることや見分け方などを教えています。
工場ではベトナムからの実習生も11人働き、今村さんはみんなが打ち解けられるようにと、いち早く実習生に話し掛けます。「みんな一見恥ずかしがり屋だけど、話し掛ければすぐに打ち解けてくれる。緊張するより、和やかに働ける方がいい」と笑顔を見せる今村さん。休憩時間には実習生たちと笑い合う声が響きます。
大規模な造成工事が完成に近づき、企業が動き始めた森の里東地区。より活気づく厚木のまちを支えています。

■積水ソフランウイズ株式会社(ウレタン原液製造)
金田にある積水ソフランウイズでは昨年、拠点の統合に伴い、20数人の社員が兵庫県から厚木に異動してきました。製品開発に携わる川端将史さん(25・水引)もその一人。昨年11月、生まれ育った明石市から家族と共に移り住みました。
工場では、マンションなどの住宅に使われる吹き付け断熱材の他、自動販売機や冷凍庫、工場などの断熱材にも使われる硬質ウレタンの原液などを製造しています。川端さんが担当しているのは原料の配合などの研究。実験室で原料の種類や分量を考えて混ぜ、発泡させたものを測定器にかけて性質を細かく調べます。断熱効果やつぶれにくさ、含まれる空気の量などの数値を記録・分析し、より良い製品にするために試行錯誤を繰り返します。

▽新製品の完成を目指して
「これを入れたらこうなるかも、とイメージして、ならなかったら原因を突き詰める。小さい頃から理科が好きで、実験も好きだった」と話す川端さん。昨年1月に化粧品開発の会社から転職し、100種類以上ある原料の特徴を理解するため、原料メーカーのセミナーに参加したり資料を読んだりと、勉強を重ねています。
今、川端さんが取り組んでいるのは新製品の開発。従来品の改良などとは違い、すぐに完成にたどり着けるものではありません。共に兵庫から異動してきた西島美弥さん(51・妻田北)は「ハードルの高い研究だけど、川端さんはいつも前向き。いてくれて助かる存在」と話します。西島さんは、以前は同じ技術部で技術情報管理や業務効率化などに携わっていましたが、現在は総務の立場から川端さんを支えています。異動をきっかけに厚木に初めて訪れた二人。「自然が多いけれど、駅前は買い物できて便利」「大きい公園がたくさんあって家族連れをよく見掛ける」など、住みやすさや豊かな自然を感じたと言います。
新天地で日々仕事と向き合う川端さん。「いつか新製品が完成して事業化したら、きっと達成感があると思う」。そう話す目は困難さをうかがえないほど朗らかで、一日でも早い完成を見据えています。

問合せ:産業振興課
【電話】225-2832

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