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【特集】地域での支え合い つながり培う 防災力(1)

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神奈川県厚木市

元日の夕暮れ時、石川県能登地方を大きな揺れが襲いました。家屋の倒壊、火災、津波などで避難所での生活を余儀なくされた多くの人たち。身内や近所同士で助け合う姿が連日報道されています。未曽有の被害を出した東日本大震災から13年。記憶が少しずつ薄れ、コロナ禍を経て地域住民同士の交流機会の減少が叫ばれる中、市内ではつながる大切さを働きかけている人たちがいます。特集では、睦合南地区の活動にスポットを当てました。

愛TV(市広報番組あつぎ愛テレビ):3/1〜

■地域で防災に携わる方に聞きました
地震災害が起きた場合、自主防災隊でどんな活動ができますか?

2022年度厚木市防災意識に関する市民アンケート調査から抜粋
調査対象:自主防災隊長、民生委員・児童委員、防災指導員、防災推進員約1000人

■助け合うために つながりを絶やさない
白根自治会(自主防災隊)

日曜の夕方、白根公園からにぎやかな声が聞こえてきます。今日は3カ月に1回程度実施される自主防災倉庫の点検日。自治会の役員ら7人が集まり、発電機や投光器などの資機材に異常がないか、一つ一つ調べていきます。「発電機のエンジンはかかったかな」「バッチリです。ライトもちゃんとつきました」。元気な声を出しながら作業を進めるのは西塚裕太さん(39・妻田西)。3年前から自治会の副会長を務め、広報や資料作りを担っています。

▽防災とつながり
西塚さんは10年前から市内で暮らし始め、近所に住む地区の班長の薦めで自治会に関わるようになりました。青森県出身で、関東では自治会活動は盛んではないと聞いていた西塚さん。初めて行った地域の祭り「さわやか親睦会」で、自治会の役員や関係団体の人たちが楽しそうに言葉を交わし、動き回っている姿を目にします。「活発に活動されている姿に驚いた。団結力もあり、何かあったときにも相談しやすそうで安心感があった」と振り返ります。数日後、公園で子どもと遊んでいる時、祭りで会った体育振興会の会長から入会の誘いを受けた西塚さんは二つ返事で承諾。以来、地域との関わりを深めていきました。「自治会イベントへの積極的な参加や体育振興会での働きぶりを見て、適任だと思った」。白根自治会長の小池敏夫さんは、西塚さんを副会長に推した理由をそう話します。
市内では、214自治会ごとに自主防災隊が組織され、防災訓練や避難所の運営など、住民同士が助け合い地域を守る「共助」の役割を担っています。「共助」に欠かせないのが、普段からの住民同士のつながりです。自主防災隊の隊長も務める小池さんは「いざという時にはつながりが絶対に必要。地域にどんな年代の人が何人住んでいるかなど、自治会に関わっているからこそ分かる、助け合いに必要な情報がある」と力を込めます。白根自治会では、つながりをつくるきっかけの一つとして、2年前に会のホームページを開設しました。発案したのは西塚さんです。「イベント告知や結果報告があれば、参加して自治会に入りたい人も増えるはず。見たよと言われると自分もうれしい」と笑顔を見せます。

▽安心で住みやすい地域に
西塚さんたちは毎年9月、白根公園で防災訓練を実施しています。子どもも一緒に楽しめる水消火器での訓練などを取り入れる一方、「忘れないように同じ訓練を繰り返すことが大事」と真剣なまなざしで話します。今後は、自治会のホームページを災害時にも活用していく計画です。「自治会があるから住みやすいと言われるような地域にしたい」と笑う西塚さん。これからも地域と関わり続けます。

■近所付き合いが防災の力に
消防団第3分団第3部(妻田)

三田にある消防訓練場では、地域の消防団が火災を想定した放水訓練を実施しています。勢いよく水が放たれるホースの筒先を握るのは、消防団員の崎浜アレックス健さん(43・妻田西)。所属の団では月に2回程度、消防資器材の確認や地域の巡回を実施し、住民の安心・安全を守る活動をしています。

▽顔見知りの関係をつくる
崎浜さんが消防団に入団したのは、結婚を機に市内で暮らし始めた15年前。公共施設に貼ってある消防団員募集のポスターを目にし、「地域を知るのには最適な方法だと思った」と話します。幼い頃は引っ越しをすることが多く、新しい地域になじめるか不安な思いをしてきた経験がある崎浜さん。「自分が地域になじめば、家族も住みやすくなると思った」と当時を振り返ります。消防団は、普段は別々の仕事に就きながら、災害に備え日頃から点検や訓練などを実施する、住民で構成された組織。市内では昨年4月現在で511人の団員が活動しています。
活動を通じ、次第に地域になじんでいった崎浜さんはつながりが広がったことで安心感が増したといいます。「ご近所の人と何気ない会話ができるようになった。災害が起きた時に、一人では何もできなくても、多くの人が集まれば大きな力になる。顔見知りであれば、いざという時に助けやすくなる」と話します。崎浜さんの話に消防団第3分団長の峯﨑信也さん(48・及川)もうなずきます。「能登半島地震のニュースを見て、決して他人ごとではないと感じた。災害時に消防団としてどれだけ力になれるかは分からないが、近くに住んでいるのが誰なのか、全く知らないと助けるのも難しい。日頃の付き合いが大事」と力を込めます。

▽地域で築く強い絆
5年前、コロナの流行で地域行事のほとんどが中止を余儀なくされました。つながりが遠のいてしまわないか危惧していた崎浜さん。昨年多くの地域で行事が再開した時はうれしかったといいます。「みんなの笑顔が見られてよかった。これからも消防団として、地域住民が災害で不幸にならないよう、訓練など防災に力を入れて活動していきたい」と話します。地域での縁を大切にしながら、いざという時に備える崎浜さんは、今日も地域のために訓練に励みます。

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