◆交流を振り返ろう
平成30年に友好交流の覚書を締結し、教育分野を中心に、さまざまな事業(下表)を進めてきたリトアニア共和国のカウナス市と平塚市。コロナ禍や、東京2020大会以降も続いた交流で、両市はさらに関係を深めていきました。
「交流が始まった頃は、リトアニア共和国がどこにあるかを平塚市の皆さんに知ってもらうのに苦労しました。だからこそ、市民同士のさまざまな交流が今の友好関係につながったことをうれしく思います」と話すのは、平塚・カウナス交流推進委員会の委員長、福澤(ふくざわ)正人さん。同委員会は、カウナス市とのさらなる交流推進に向けて、今年1月に設立された市民主体の組織です。福澤さんをはじめ、以前からリトアニア共和国との交流活動に携わってきたメンバーで構成されています。「平塚市の相州平塚七夕太鼓保存会が、カウナス市で開いた公演も好評でした。今後も平塚らしい文化に触れてもらえるようにしたいですね」と目を細めます。
また、教育交流には特に力を入れてきたと言います。平成30年に、交流を進めるパートナーシップ宣言をした、カウナス市のパネムネ小学校と平塚市の港小学校は、親しい関係を築いています。コロナ禍でも2校の交流はオンラインで続き、令和4年度は季節ごとに、お互いの文化を発表し合うなどして、絆を深めていきました。「子どもたちが交流できるプログラムは、今後も行政や関係機関とも連携して進めていきたいと思っています」と、次世代を担う、子どもたちの交流への思いを強調します。
・もっと身近な存在に
福澤さんが初めてカウナス市を訪れたのは、自身が会長を務める市観光協会が、平成30年に開いたリトアニア共和国への市民ツアー。杉原記念館などを巡ったそうです。現地で印象に残ったのは、街並みから分かる歴史の深さと杉原千畝さんの存在の大きさ、そして、人の温かさだったと振り返ります。「歴史を感じる美しいまちでした。歓迎してくれた、カウナス市の皆さんの温和な雰囲気は、平塚市民と合うだろうなと感じました」。
コロナ禍では、なかなか対面での交流ができなかったことに触れ、「またツアーなどを企画して、市民同士が交流できる機会を広げていきたいですね」と、展望を語ります。「もっとカウナス市を知ってもらえるように、今後は恒例となる催しもできたら良いですね」と声を弾ませます。
また、カウナス市民にも平塚市で過ごしてもらいたい、と福澤さん。平塚で触れた文化や、農・工・商業の技術を、カウナス市で広めてもらうことなどを期待します。「全く違う文化を持っているからこそ、お互いに良い影響を与え合えると思います。末永く交流を続けていきたいですね」。
◇故郷との架け橋に
「温かい人が多くて、平塚での生活にすぐなじめました」と話すのは市文化・交流課の国際交流員、ジュギーテ・サウレさん。カウナス市出身です。令和4年8月に着任し、さまざまな事業で活躍しています。交流する平塚市民が、すでにリトアニア共和国やカウナス市のことをよく知っていることに驚いたそうです。「遠く離れているはずなのに、平塚市では地元を近くに感じるんです」と笑顔を見せます。
今後は対面での交流を期待するサウレさん。「活動の中で、カウナス市と平塚市とでお互いの良さを知ってもらえるようにしたいです」と意欲的です。「提携に先駆けて、パネル展を開きます。ぜひ遊びにきてくださいね」。
◆両市の明るい未来に向けて
・カウナス市長 ヴィスヴァルダス・マティヨシャイティスさん
リトアニア共和国の中心に位置するカウナス市から、謹んでごあいさつを申し上げます。
日頃から平塚市の皆さまと交流し、時代の変化を共有できていることをうれしく思います。特に、学校間の活発な交流プログラムは、私にとって大きな喜びと誇りです。両市の子どもたちがこの教育交流に積極的に参加しているのを見て、本当に素晴らしい交流ができていると実感しています。今後数年間、この取り組みはさらに成長し、カウナス市と平塚市の絆をより強いものにすると信じています。
また、今春にカウナス市で開いた「ジャパンデイズ」では、平塚市との交流プログラムを数多くできました。中でも、カウナス市内の約1,000人の学生による「七夕おどり」のフラッシュモブは圧巻でした。若い世代のエネルギーと平塚市との交流に対する熱意が伝わり、それを目の当たりにした全員に忘れられない印象を残しました。
さまざまな交流事業を経て、平塚市と姉妹都市になることを大変うれしく思います。今後さらに多くの素晴らしい交流事業が生まれることは間違いありません。これからもお互いの絆と思い出を育み、一緒に育てていきましょう。平塚市に心より敬意を表するとともに、両市にとって明るい未来が待っていることを約束します。
◆パネル展に行こう
街並みや有名建築物、世界遺産に登録されたモダニズム建築など、カウナス市の魅力あふれる写真パネルを楽しみませんか。
日時:11月6日(月)〜11日(土)午前9時〜午後10時(6日は1時から)
場所:ひらしん平塚文化芸術ホール
◆7年間の軌跡をたどう
問い合わせ:文化・交流課
【電話】25-2520
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