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自治体の皆さまへ

(特集)「こどもクリニックどうかい」みんなの広場が完成(2)

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神奈川県平塚市

◆遊ぶ子どもは全くの対等
私立幼稚園協会会長 東中原幼稚園 小澤清一園長に話を聞きました

子どもにとって遊びはとても重要です。大人の遊びは、例えばゴルフでスコアを上げたいなど目的や利益追求があったりします。でも、子どもの世界はそうではありません。遊びは経験であり学びの場です。
私たち幼稚園では大人数で遊ぶことを大切にしています。自分一人で遊んでいた遊びの中から、隣の友達とルールを共有することで人間関係を作ることもできます。また、遊びはまねごとでもあります。おままごとをやると、子どもはお母さんやお父さんが家で言っていることやっていることをそのまままねするんです。そうした体験の積み重ねが学びであり、成長につながっていきます。
遊びには技術や知恵もいりません。性別も関係ないし、年齢も関係ありません。全くの対等です。子どもたちは私とも「友達」として一緒に遊んでいます。
遊びというのはインクルーシブの考えを取り入れるのに一番ぴったりなものだと思いますね。みんなの広場ができ、大変うれしいです。障がいのありなしに関わらず、遊ぶことができる場所があるのは良いことです。いろいろな人がいることを、特別なことではなく当たり前として感じてほしいですね。遊びの中なら違和感なく関わることができると思っています。
遊具ができて終わりではありません。インクルーシブ遊具で遊ぶときはどこが良かったかどこが悪かったかを、関わる側として考えていくことも大切です。どんな関わり方ができるのかは、経験からしか得られません。子どもたちが理屈ではなく体験を通して学べるように手助けしていきたいですね。

◆ブランコに自分で乗れた!
・平塚市手をつなぐ育成会 長橋尚子さん
娘の史織はダウン症で、言葉で話すことはできません。ですが、私たちの言っていることは理解して、手をパチンとたたいて肯定したり、指をさして教えてくれたりします。
娘は筋力が弱く、自分一人でブランコに乗れません。でもブランコの揺れは大好きで、小さい頃は夫や私が抱えて乗っていました。ある日、平塚養護学校のそばの公園にあるバケット型のブランコを試してみたところ一人で乗ることができました。あの笑顔は忘れられません。

◇みんなの思いが詰まった広場
平塚市手をつなぐ育成会は、知的障がいのある人とその家族・支援者の会で、交流や啓発活動などさまざまな活動をしています。育成会の役員会で、ブランコではしゃぐ娘のことを話したところ、市に要望してみようとなりました。今から7年前のことです。広場の完成は、私たちの長年の思いが実ったようで感慨深いです。広場の設置にあたって、構想の段階から私たちと行政の皆さんで一緒に考えていきました。私もインクルーシブ遊具の勉強をしたり、設置されている公園に見学に行ったりして会議に臨みました。きっかけは娘のことでしたが、回数を重ねるたびに会議が楽しみになっていきました。みんなの思いが詰まった広場になったと思います。

◇暮らしやすい世界に
障がい者の目線で何かを作ると、健常者にとっても心地よかったり使いやすかったりもします。インクルーシブ遊具は障がい児専用の特別な遊具ではありません。弱者に合わせるということは特別なことではなく、みんなの生きやすさにもつながっていくのだと思います。
今は福祉の制度が充実していますし、調べるのも簡単な時代になりました。でもそれは、先輩お母さんたちの行動があったからだと思っています。娘はもう16歳で、公園で遊ぶ年齢ではありません。ですが、これから娘と同じように育っている子どもたちが楽しめるように環境を整えていく、それが自分たちの役割だと感じています。みんなの思いをバトンのように次につなげていきたいです。

◆インクルーシブ遊具を紹介!
わんぱく広場やふれあい動物園と隣接しているみんなの広場。急な飛び出しなどを防ぐため、広場の周りには低木を植栽し、緩やかな囲いを作っています。
遊具周りにはゴムチップ舗装をして、転んでも痛くないように工夫されています。
3連ブランコ以外の七つの遊具を紹介します。

◇動く遊具
(1)複合遊具…複数の遊び方ができる広場のシンボル的な存在です。車いすでも登れる傾斜のスロープとすることで小さい子も登れるようになっています
(2)回転遊具…車いすなどからの乗り降りのしやすさ、子どもたちの交流のしやすさから外向きのタイプになっています
(3)スイング遊具…車いすごと乗れる遊具です。一人で遊ぶのではなく協力して遊ぶことを目的としています。中のハンドルを動かして揺らします

◇体験する遊具
(4)地形遊び…起伏を楽しむエリア。ゴムチップ舗装されているので小さい子も安心です。コブを三つ設けて斜度に緩急をつけることで身体能力や成長に合わせて遊べるように工夫しています
(5)砂場…車いすでもそのまま遊ぶことができるテーブル砂場と、体幹が弱い子どもも遊べるように砂場の中に寄りかかれるクッション山を設置しています
(6)楽器遊具…手や足でペダルなどを押すと音が出る自立式音遊び遊具です。遊具の裏側のパイプをたたいて音を出すこともできます
(7)ミニハウス…落ち着きを取り戻すためのクールスポット。お店のような外観になっているので、ごっこ遊びもできます

問い合わせ:総合公園管理事務所
【電話】35-2233

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